視覚障害者センターだより 〜ロバと五つのにんじん〜 令和元年7月10日発行(通巻346号) 発行 岡山県視覚障害者センター 郵便番号 700−0927 岡山市北区西古松268−1 電話 086−244−1121 FAX 086−244−1043 Eメール ossfc@nifty.com  声の欄は随時募集しています。  内容とその形式は問いませんが、ワープロやエディタのテキストデータ、あるいはメールが可能な方は、これらでいただければ大変助かります。  皆さまからの原稿をお待ちしています。 今月の内容  ・お知らせ(4件)  ・第4回とっておきのアイディアコンテスト開催  ・第45回全国盲人文芸大会のご案内  ・声 西日本豪雨を経験して  ・声 創世記と人の起源3(全4)  ・PCVOL・OPKの例会日  ・岡山県視覚障害を考える会の行事予定  ・こまくさハイキングクラブ7月例会のご案内  ・ろばの耳より情報  ・人気のある点字図書のご案内  ・新刊案内をお伝えします。 《 お知らせ 》(4件)  1.7月・8月のカレンダー   利用者の皆さん向けのセンターで行われる行事をお知らせしています。   申し込みが必要な行事があります。   休館日は毎週火曜日と7月15日(月)海の日、8月12日(月)振替休日です。   開館時間は、午前9時から午後5時です。     図書整理日は、7月は25日(木)、8月は22日(木)で終日留守番電話対応とさせていただきます。     なお、留守電にメッセージをお入れくださる場合は、ご用件と共に、お名前、ご連絡先をお入れくださいますようお願いいたします。 ◇7月のカレンダー  7日(日)手技療法研究会  8日(月)視障協川柳教室 11日(木)視障協青年部ヨガ教室 14日(日)PCVOL 18日(木)視障協囲碁クラブ 28日(日)OPK ◇8月のカレンダー  8日(木)視障協青年部ヨガ教室 11日(日)PCVOL 14日(水)ばくの会 15日(木)視障協囲碁クラブ 18日(日)手技療法研究会 25日(日)OPK  2.岡山県視覚障害者協会の会員になられませんか。   センターの経営は、岡山県が指定管理制度で運営する事業所を公募し、応募した事業所から選ばれています。   平成30年に令和元年から5年の指定管理者の募集があり、岡山県視覚障害者協会が応募し選ばれました。   向こう5年間センターの経営は今まで同様、岡山県視覚障害者協会が担当することになりました。     まだまだ県下の多くの視覚障害者の方がセンターをご存知ないのが現状です。   皆様の周りに該当者がおられれば、センターの紹介と利用者登録をお勧めしてくだされば大変ありがたく思います。     岡山県視覚障害者協会の会員になるには、年会費が必要ですが、皆様がお住いの地区の支部会員になることで自動的に入会になります。   様々な行事が計画されています。   多くの場合参加資格が会員に限定されるため、入会され、活動されませんか。     支部には、岡山(岡山市視覚障害者協会)以下同様、倉敷・津山・笠岡・井原・新見・備前・瀬戸内・真庭・愛生園・光明園・盲学校があります。     上記の支部にご連絡されたいときは、岡山県視覚障害者協会事務局電話086−271−0933までお尋ねください。  3.先月このコーナーで、音声ATMを利用し、出金・入金・残高照会の方法をお知らせしました。     一部誤りがあったため、訂正します。     暗証番号の入力が必要なのは、出金と残高照会でした。   入金のときは暗証番号の入力は必要ありませんでした。   以上訂正します。  4.スマホ(iPhone)に話しかけて調べものをするには?   点字版の読者の皆さんの中には、学生時代もっと充実した点字版の国語辞典類・英和・和英辞典、医学辞典、その他の辞書類があればと思われたことでしょう。   2・30年前から音声パソコンを利用し、多くの辞書類は使用できるようになっていました。     最近ではスマホ(ここではiPhone)を利用し、Siri(シリ)に声で尋ねることで、すぐに音声で回答してくれます。     Siriは、iPhoneに最初から入っているソフトで、ボイスオーバーを利用できるようにしておくと、 @「ヘイ シリ」と言った後か Aホームボタンを押し、ピンピンと聞こえた後、あなたの声で尋ねると、Siriが音声で答えてくれます。     初めて利用するときによく尋ねるのが、「今日の天気を教えて。」「今の気温を教えて。」「明後日のローマの天気を教えて。」このようなことなら尋ねてからすぐに答えてくれます。     一度尋ね答えがあると、次に尋ねたいときはSiriを再び使えるように@かAのどちらかを行なう必要があります。     「岡山市の人口を教えて。」「岡山市中区の人口を教えて。」と尋ねてみました。   すぐに2017年度のものでしたが答えてくれました。   インターネットに公開されているホームページなら、尋ね方に少し慣れが必要ですが、探し出し、音声で知らせてくれます。     このSiriの使い方に関する図書が、サピエ図書館にデイジー録音図書として1冊、「あなたの声で操作できるiPhone Siriかんたんガイド 橋本 佳幸著」があります。   これをお聞きいただき使いこなせるようになれば、iPhoneがパソコンの代りにもなると思います。     センターでは皆さんが利用できるiPhone8を1台用意しています。   Airiを利用し音声で、色々調べたり、電話機として体験されませんか。   体験希望されたい方はセンターまでお問い合わせください。 《 第4回とっておきのアイディアコンテスト開催 》  社会福祉法人日本点字図書館・公益財団法人共用品推進機構の主催による「第4回目 見えない・見えにくい私だから考えついた“とっておきのアイディア”コンテスト」が実施される。  現在、世の中にある製品の多くは、障害のない人たちが考え、作られている。  そのため、障害のある人達にとっては、使いづらい「製品」が存在している。  それを解決する方法の一つとして、同コンテストを実施し、障害のある人達のアイディアを募集する。  募集テーマはジャンルは問わないが、目が見えない・見えにくい私だから考えついた製品に限る。  こんなモノがあれば、今不便なことが便利になる、こんなことができるようになるといったアイディアを募集。  既存品の改良案でも応募可。  視覚障害特別支援学校(以下、盲学校)、一般の二つの部門に分けて行う。  応募資格は「盲学校の部」が盲学校に通う18歳までの児童・生徒(学級・学年のチーム、家族との応募も可)及び一般校に通う視覚に障害のある児童・生徒。  「一般の部」が視覚に障害のある人。  応募方法は、郵送、FAX、メールのいずれかで。  応募締め切りは9月6日(当日消印有効)。  応募の際の記載事項は、次の通り。 (1)部門 (2)アイディアの名称 (3)対象者 (4)アイディアの詳しい内容 (5)アイディアのアピールポイント (6)氏名 (7)年齢(学年) (8)性別 (9)住所 (10)所属(学校・所属機関名)、職業 (11)連絡先電話番号 (12)連絡先FAX番号 (13)メールアドレス。  結果は、視覚障害者関連のイベントと連動し、表彰、展示を行う。  その他詳細は主催団体ホームページ(日本点字図書館http://www.nittento.or.jp/news/idea_contest.html、共用品推進機構http://www.kyoyohin.org/ja/exhibition/pdf/2019_text.txt)を参照。  申し込み・問い合わせ先は「日本点字図書館とっておきのアイディアコンテスト係」 (〒169−8586 東京都新宿区高田馬場1−23−4、  電話03−3209−0241、  FAX03−3204−5641、  Eメールnitten@nittento.or.jp)、  もしくは「共用品推進機構とっておきのアイディアコンテスト係」  (〒101−0064 東京都千代田区神田猿楽町2−5−4OGAビル2F、   電話03−5280−0020、   FAX03−5280−2373、   Eメールjimukyoku@kyoyohin.org)。 《 第45回全国盲人文芸大会のご案内 》  第45回全国盲人文芸大会開催要綱並びに応募要領  1 目的 文芸を通して視覚障害者の情操を耕し、豊かな心の目を養いながら相互理解と友情の輪を広げることを目的とする。  2 主催 社会福祉法人日本盲人会連合  3 後援 厚生労働省、文化庁、東京都、NHK  4 応募規程 (1)作品の種類 「短歌」、「俳句」、「川柳」、「随想・随筆」の4部門とし、自作、未発表の作品に限る。 (2)応募資格 視覚障害者 (3)応募方法   @短歌、俳句、川柳は、1人3首又は3句以内。  随想・随筆は、点字の場合1行32マス250行以内、墨字の場合400字詰原稿用紙10枚以内。   A川柳の課題は「しあわせ」(読み込み不可)と「約束」(読み込み可)の2題。    3句のうちでどのように使ってもよい。  他部門は自由。    ※読み込み不可とは、お題の言葉・文字を使わずに作句すること。    随想・随筆にはタイトルを付けること。   B参加料は、短歌、俳句、川柳は、1部門1,000円。  随想・随筆は、1,500円。  2部門以上応募するときは、それぞれの参加料を加算する。   C応募用紙は、部門ごとに別々の用紙を用い、1行目に部門、2行目から住所、氏名、電話番号、次の行から作品を書く。  氏名には必ず読み仮名をつけること。    点字で応募する場合:できるだけ墨字を書き添えること。  固有名詞には必ず墨字を書き添えること。  間違い易い語句には簡単な注釈を付けること。    墨字またはメールで応募する場合:固有名詞には必ずふりがなを付けること。   D応募の際は、必ず参加料【現金(現金書留封筒を利用すること)・小為替又は切手】を同封し、封筒には墨字で住所、氏名を明記する。    メールで応募の場合は、入金方法と入金日を明記すること。   E応募作品の送付と入金の両方が確認された時点で応募を受け付けたこととする。   F郵送にて応募の際、他人の作品は同封しない。   G作品の送り先 社会福祉法人日本盲人会連合文芸係   〒169−8664 東京都新宿区西早稲田2−18−2   jim@jfb.jp   ※メールで応募の場合は件名に【文芸作品応募】と記載すること   郵便振替口座 00170−9−48326   H募集期間 令和元年6月1日から7月31日(当日消印有効)  5 審査及び表彰 (1)審査員(予定)   @短歌:佐佐木幸綱先生 池田はるみ先生 黒岩剛仁先生   A俳句:松井国央先生 野ムツオ先生   B川柳:川端六点先生 西出楓楽先生 C随想・随筆:堀越喜晴先生 斎藤恵子先生 (2)表彰 優秀な作品には厚生労働大臣賞、文部科学大臣賞、東京都知事賞、NHK会長賞、日盲連会長賞を贈る予定。  6 入選者発表  日盲連情報誌「点字日本(11月号)」、「日盲連アワー(11月号)」、「JBニュース(11月1日)」等で発表する。     また、入選者インタビューを「声のひろば(1月号、2月号)」で放送する。  7 作品集   応募作品を点字、墨字で刊行。 応募者に送付する。   俳句・短歌・川柳は、全作品、随想・随筆は、入選作品を掲載。   応募の際、点字版、墨字版の希望を明記すること。   墨字版希望の場合は、応募1部門につき、全部門掲載された作品集を1冊、   点字版希望の場合は、応募1部門につき、1部門のみ掲載された作品集を1冊送付する。   追加の作品集の購入を希望の場合は、下記連絡先までお問い合わせください。  8 メールアドレスの登録   応募の際、メールアドレスをご記入いただいた場合、メールで入選者をお知らせするとともに、作品集のテキストデータを送付する。  9 問合せ先   社会福祉法人日本盲人会連合文芸係   〒169−8664東京都新宿区西早稲田2−18−2   電話 03−3200−0011/FAX 03−3200−7755   メール jim@jfb.jp 《 声 》  西日本豪雨を経験して 利用者 山崎 克枝  私は、昨年の7月まで真備町の自宅の離れで女性専門の治療院を営んでいました。  しかし、そんな私の生活も西日本豪雨で被災したことにより大きな変化を余儀なくされました。  7月6日夜、私は、主人と子供とともに避難所である岡田小学校に車で避難しました。  そのときは、次の日には家に帰れると思っていたのですが、その後は予想外の展開の連続でした。  7月7日深夜、家に帰るどころか、次々もたらされる情報に自宅の水没は必至。  雨は昼前に上がったものの、水位はなおも上昇を続け、一時期は岡田小学校も浸水するのではないかと恐怖を覚えました。  その2日後の7月9日、ようやく自宅の様子を見に行くことができました。  敷地内はいろいろ漂流物が流れ着いており、治療院の庇の上には木箱が乗っていました。  平屋建ての母屋は天井下20センチまで浸水した痕跡があり、表層がはげ落ちた土壁は竹でできた基礎部分が剥き出し、玄関の床は土壁の残骸の山でした。  危ないという理由で、私は家の中へ入ることを許されませんでした。  避難所での仮住まいは、結果、一か月続きました。  振り返ってみると、自宅を見に行った9日月曜日からの一週間がいちばん大変だったように思います。  それは、私が避難所を新住居が決まるまでの仮住まいにすることを決心して、そこに適応する努力をした期間だったからです。  そのころ、私は慣れない環境の中で家族間の感情の衝突にさらされ、ギブアップ寸前でした。  ただでさえ、突然住み慣れた家を失って身も心もくたくたボロボロなのに、亭主と子供に振り回されてくたびれモードは最大級更新中でした。  ウィークリー・マンションに移ることをうちの亭主が言い出したとき、私は「避難所のほうがいい」ときっぱり言いました。  たしかに、住環境はウィークリー・マンションのほうが絶対いいけれど、避難所は被災者と話ができるし、情報や物資にもアクセスしやすい環境だ。  視覚障害者に慣れていない運営スタッフが多いけれど、彼らは私が教育すればいい。  岡田小学校はウィークリー・マンションの部屋より絶対広いから場所さえ覚えれば敷地内を散歩できるし、それに私が必要な時に助けを求めることができる人がいる。  亭主と子供が真備の家の片づけに行っている間、私は避難所で生活再建のための情報収集やそのほかの私のできることをする。  そうすれば、家族とイーブンの関係を保つことができるだろう、と結論したのです。  そのためには、まず、避難所内でよく利用する場所に一人で行けるようになる必要がある。  そう思って運営スタッフに歩行訓練をしてくれるように依頼したのです。  場所を覚えても、最初は、目的地に到達するのに苦労しましたが、だんだん慣れてきて、避難所内はだいたい問題なく移動できるようになりました。  避難所ではいろいろな出会いがありました。  無神経な人たちと接して気持ちが疲弊したことも少なからずありましたが、ある意味、真備で通常の日常生活を送っていたときより、人との交流は親密でした。  最後の10日間は、縁あってAMDAでマッサージの奉仕活動をする機会に恵まれました。  半日の奉仕でしたが、倦怠感を引きずっていたので、体力的には堪えましたが、災害支援の現場に携わる人たちと直接交流できたのは、貴重な体験でした。  でも、もう一度避難所暮らしをしたいですかと聞かれれば、答えは、絶対いや。  あの体験をもう一度しなければいけないのなら、死んだほうがましだ、というのも本音です。  避難所暮らしが一か月と短く、新住居にもうすぐ移れるという希望があったからこそ耐えられたのだと思います。  工夫や気持ちの持ちようでは解決できない避難所の問題点については機会があれば、また、お話ししたいと思います。    川田所長をはじめ、センタースタッフの皆様には、被災直後から物心両面で本当にお世話になりました。  情報や物資の支援のみならず、センタースタッフや岡山県視覚障害者協会の片岡会長が避難所に私を訪ねてくださいました。  お心遣いに感謝いたします。  そして、お見舞金をくださった皆様、私のことをひそかに応援してくださった皆様、遅ればせながらお礼を申し上げます。  皆さん、本当にお気持ちをありがとうございました。 《 声 》  創世記と人の起源 3(全4)     利用者 小林 政利  大洪水の物語はメソポタミア地方を流れるチグリス・ユーフラテスの大反乱が伝説となって創世記に受け継がれたと考えることができます。  しかし原理主義者たちは、この洪水は全世界を覆い尽くすほどの規模であり、しかも自然現象ではなく 神の意思によって起きたと主張します。  字句どおりに読むと確かにそのように聞こえます。  洪水を起こす前、神は「人を造ったことを後悔する」とつぶやきます。  人々が堕落して、よからぬことばかり考えるようになったことを後悔しているのです。  そして、神の心に適うノアとその家族を除いて残らず滅ぼしてしまいます。  この物語について私は原理主義者に問いかけたことがあります。  「人類に善悪の自由を与えたらどうなるか、全知全能の神なら予見できたはずだ、それなのに人類を造り、善悪の自由を与え、あげくの果てに後悔して滅ぼしてしまうとはあまりにも不条理ではないか、神は大きな過ちを犯したのではないか」  この問いかけには的確な答えが返ってきません。  堕落して悪い心を起こすことを予見していたら後悔などしなかったはずです。  堕落することを予見できなかったとすると全知全能とは言えなくなります。  どちらにしても大洪水の物語を言葉通りに読むと人の命は紙くずのように軽くなり、不変性が損なわれてしまいます。  創世記は優れた教典ではありますが、今まで間違った読み方をされてきました。  間違ったまま途方もない年月が流れてしまいました。  アダムとエバは命の尊厳を謳い上げるための架空モデルだったと読むべきでしょう。  洪水の物語は神にも「人と同じく」悪魔の心があり、罪を犯すこともあると読むべきでしょう。  このことについて原理主義者と議論した時のことを私は忘れることができません。  「神は洪水で人を裁かれたのだ、殺人ではない」と彼らは言います。  裁きと殺人は違うというのです。  どこがどう違うのか私には理解できません。  裁きとか、ポアとか、どんなに言葉を置き換えても殺人に変わりはないと思うからです。  ただし、洪水の物語もアダムとエバの物語同様、仮想現実(バーチャルリアリティ)として読めば不条理は解消されます。  キリスト教においてもイスラム教においても最後の審判では少数の人が天国、または楽園に迎えられ、大多数の人が地獄に落とされると言われています。  これは洪水の物語の拡大版と考えることもできます。  大多数の人が地獄の火に投げ込まれるとすれば、それは神の心が悪魔に支配されることを意味します。  神が神であることを放棄する瞬間でもあります。  地獄に落とすことイコール殺人ではありませんが、永遠に火で焼き続けるのですから殺人よりも残酷な行為と言えるかもしれません。  私は創世記を擁護する立場から、あえて神は人を造らなかったという解釈を採りたいと思います。  堕落することがわかっていたとしても、わかっていなかったとしても、神が人を造ったとすればその責任は神にあります。  堕落した人類を皆殺しにしたり、地獄に落としたりしてすむことではありません。  仮に優れたロボット研究者がいて、善悪の価値基準を持つロボットを大量に製造して人間社会に送り込み、その結果、ロボットたちが悪事を働いて人間を苦しめるようになったら、その責任は100%製造者にあります。  この道理を一神教に当てはめると、最後の審判で多くの人を地獄に落とす時、神自らも責任を取って地獄に落ちなければなりません。  このように考えを進めると、やはり神は人を造らなかったという解釈に落ちつきます。  アダムとエバは人の起源ではなく、命の尊厳を謳い上げるための架空モデルでした。  またそこには、なぜ人間だけが善悪の価値基準を持っているのかという、真っ当な哲学の萌芽を見ることができます。  人間以外の動物には善悪の区別はありません。  強いものが勝つ、強いものがほしいものを獲得する、ただそれだけのことです。  人間だけが善悪の価値基準を持ち、ときには善を行なうために人を殺すというような本末転倒の過ちもありました。  過去に繰り返された宗教戦争はそうした過ちの実例です。  日本のような近代民主主義国家では殺人は絶対悪とみなされ、正当防衛が認められるケースを除いて、 決して許されることはありません。  人間の命を第一とする価値観から見れば、洪水で皆殺しにする場面は人命軽視の最たるものであり、許容することはできないと誰もが思うのではないでしょうか。  さらに最後の審判は命の尊厳を全否定する蛮行と言うほかはなく、絶対にあってはならないことです。  イエスキリストは隣人を愛せよ・敵を愛せよと教えました。  「隣人」とはすべての人という意味に解していいでしょう。  この名言は神の言葉として新約聖書に刻まれています。  イエスの教えに限らず、聖書は旧約も新約も共に神の言葉とされています。  その中には最後の審判の記事もあります。  イエスの人類愛と最後の審判が神の言葉として聖書に併記されていることに私は強い違和感を覚えます。  聖書にはアンチノミーがあってもよい、ある程度相矛盾する記事があってもよい、けれど人類愛と最後の審判を単なるアンチノミーとして見過ごしてはいけない、どちらが神の言葉にふさわしいかを峻別しなければいけないと思うのです。  どちらが神の言葉にふさわしいかと問われたら私は迷わずイエスの言葉だと答えます。  最後の審判はやはり仮想現実と見るべきでしょう。  天地創造も、人類創造も、大洪水も、最後の審判も仮想現実とみなせばすべての不条理は氷解します。  真の現実は命の尊厳を謳い上げる創世記の記述と、人類愛を説くイエスキリストの言葉だけと言っていいでしょう。  イエスの精神は仏典の最高峰とされる法華経に通じるものがあります。  「一切衆生にぶっしんを成就せしむ」と法華経は説きます。  全人類を救わずにはおかない、たとえ敵対する者であろうと救わずにはおかないというのです。  およそ宗教の出発点は人を救うことであり、終着点もまた、全人類の安寧を悲願とするものでなければなりません。  大多数の人類が地獄に投げ落とされる日を待ち続ける宗教などあってはならないとイエスも考えていたのではないか、そう思えてなりません。  イエスが最後の審判をきっぱり否定しなかったのは弟子たちや、そのあとに続く人々が怠惰に流されないように戒めとして遺しておきたかったのかもしれません。  あるいは、最後の審判は一人ひとりの人生において個別に訪れるもので、因果律から言っても避けて通れない節目であることを示唆しているのかもしれません。  つまり最後の審判は世界の終末を意味するものではなく、まだかまだかと待ち続けるものでもないと言いたかったのではないか、イエスの覚りはそこまで到達していたのではないかと私は推理しています。 《 PCVOL・OPKの例会日のお知らせ 》  利用者アンケートで、皆さんのご希望が多かったのは、スマートフォンをはじめ、ICT機器に関する様々なことでした。  このICT機器関連の様々な勉強会サポートを定期的に行なっているのが、以下のPCVOLとOPKの例会です。  センター3階で、PCVOLとOPKによる音声パソコン等のサポート、勉強会が予定されていますので、参加されてみませんか。  ICT機器をお持ちでなくても大丈夫ですよ。  センター所有のスマートフォン(iPhone)、タブレット(iPad)、音声パソコンがありますので、当日貸出が可能です。  PCVOLの例会は原則第2日曜日の10時〜16時です。  11月以外は第3会議室を予定しています。  OPKの例会は原則第4日曜日の13時〜16時で、すべて第2会議室で行ないます。  以下PCVOLとOPKの例会日です。  ◇PCVOLの例会日  7月14日  8月11日  9月 8日 10月13日 11月24日(第2会議室 岡山マラソンが第2日曜にあるため、OPKと共催) 12月 8日 2020年  1月12日  2月 9日  3月 9日  ◇OPKの例会日  7月28日  8月25日  9月22日 10月27日 11月24日 12月22日 2020年  1月26日  2月23日  3月23日 《 岡山県視覚障害を考える会の行事予定 》  A どうしてますか交流会の日程   目の不自由な方と家族の集い“どうしてますか交流会”     目が不自由になってこんな事が困った、何かいい方法ないかな。     いろんな悩みや思いを聞いたり話したりしてみませんか。   そんな思いで、集いの場“どうしてますか交流会”をほぼ毎月開催しています。   目の不自由な方、ご家族の方々、お気軽にご参加ください。   1.日時 時間はすべて10時〜12時です。  7月21日、  9月 1日、 11月 4日、 12月 1日忘年会(後日ご案内)、  1月26日、  3月 8日   2.会場 ひまわり福祉会館2階 岡山市北区大供2−4−25 電話 086−222−8619   3.対象 目の不自由な方と家族の方々   4.参加費 200円     5.申込み 不要   6.問合せ先 086−229−2225(国末さん)まで   主催 岡山県視覚障害を考える会  B 岡山県視覚障害を考える会の行事予定   2019年度特別講演会「自身の体験から視覚障害について思うこと(仮題)」 講師 片岡 美佐子 氏(社会福祉法人 岡山県視覚障害者協会 会長) 日程 2019年10月13日(日)午後 会場 岡山国際交流センター 参加費 無料 申込み 不要 ※(公益社団法人)日本眼科医会と共催 問合せ先 岡山県視覚障害を考える会事務局 e-mail okashikaku@yahoo.co.jp 話 090−4100−8017(平日9:00〜17:00) 《 こまくさハイキングクラブ7月例会のご案内 》  2019年夏のボランティア体験事業   期日 2019年7月28日(日)   活動場所 森林公園   集合時間 午前8時 岡山駅中央改札口を出た付近   参加費 4000円     今年も恒例の夏のボランティア体験事業がやってまいりました。   こまくさ発足から力を入れており、今年で19回目になります。   中高生の視覚障がい者に対するサポート初体験の貴重な例会です。   特に、視覚障がい者の皆さんの参加をお願いします。   持参 弁当、飲料、カッパ   体験参加を歓迎します。   お問い合わせ・参加のお申し込みは以下にお願いします。   事務局・津島勝洋さん  〒705−0011 備前市香登西105−1   TEL・FAX 0869−66−6789   E‐Mail tsushima@galaxy.ocn.ne.jp 《 ろばの耳より情報 》  A 読書バリアフリー法成立(山陽新聞記事からの抜粋)   障害者の読書に関し、運動が続けられ、まず、マラケシュ条約の批准、それに伴なう著作権法の改正がなされ、今年の1月1日から施行されています。   今回いわゆる「バリアフリー法」が成立し私達の読書環境にも大きな影響が波及すると思われます。     以下山陽新聞記事からの抜粋です。   点字、音声読み上げ普及   視覚障害や発達障害のある人らが読書しやすい環境を整える「読書バリアフリー法」が21日の衆院本会議で全会一致により可決、成立した。 点字図書や音声読み上げに対応した電子書籍の普及を国や地方自治体の責務と定めた。   肢体不自由なども含め、多様な障害により書籍を読むことが困難な人を対象とし「障害の有無にかかわらず、全ての国民が文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現に寄与する」と明記した。 近く施行される。   従来の点字や拡大文字の図書に加え、IT機器の音声読み上げ機能などを使って障害のある人も利用可能な電子書籍を普及させ、質の向上を進める。 国や自治体に対し、図書館の蔵書充実や、インターネットを通じて点字図書などを提供する仕組みへの支援を求めた。    読書バリアフリー法のポイント ・視覚や発達障害、肢体不自由など多様な障害のある人が読書しやすい環境を整備 ・点字図書や音声読み上げに対応した電子書籍の普及は、国や地方自治体の責務 ・国に基本計画の作成と財政措置を義務付け。障害のある人や図書館関係者、書籍製作者らを交えた協議の場を設置 ・国や自治体は、インターネットを通じて点字図書などを提供する仕組みを支援。図書館の蔵書充実  B 五感で楽しむ、アメリカ西海岸(ロスアンゼルス、サンフランシスコ&ヨセミテ国立公園)ご案内   旅行期間:2019年9月12日(木)から9月19日(木)までの8日間   *2名様1室利用の1名様料金:概算旅行代金:545,000円   旅行手配締切日:2019年8月13日(火)     五感で楽しむ旅、第154弾は、5月に催行出来なかったアメリカ西海岸ロスアンゼルス&サンフランシスコとヨセミテ国立公園(世界遺産)の観光スポットをぐるり巡る旅行に再度チャレンジ!!   最初の訪問地、ロスアンゼルスでは、ワーナーブラザーズ・スタジオツアー(ハリウッド)やチャイニーズシアター、ファーマーズマーケット、サンタモニカ、ビバリーヒルズ、リトル東京、カルフォルニアサイエンスセンターなどを巡ります。   また、大リーグ大谷選手の所属チーム「エンジェルス」対「レイズ」の試合観戦、試合前に大谷選手に会えるよう交渉中。     サンフランシスコでは、ゴールデンゲートブリッジや名物のケーブルカー体験乗車、フィッシャーマンズワーフの散策、アルカポネも投獄された監獄の島アルカトラズ島の観光、ナパバレーにてカルフォルニアワインの試飲体験なども楽しみます。     観光の最終日は、世界遺産・ヨセミテ国立公園への日帰り観光アメリカを代表する大自然の体験体感。   コムツアーだけのオリジナリティ溢れる旅行です。     日程表などは下記にお問い合わせください。   この旅行は、羽田空港発、成田国際空港着の旅行です。   地方空港からご参加希望の場合はご相談ください。   お問い合わせ先 コムツアー 担当:阿部 TEL:047−710−9818 メール:info@teamcom.co.jp URL:www.teamcom.co.jp/ 《 人気のある点字図書のご案内 》  サピエ図書館の点字図書リクエストランキングの中から選んでご案内いたします。  どうぞご利用ください。  今月は11タイトルあります。  現在全国でリクエストの多い図書のため予約になるかもしれませんが、お待ちくださいますようお願いいたします。  また、同タイトルの録音図書が貸出可能な場合も多いですので、録音図書がご希望の場合はその旨お知らせください。  分類のあとに該当するタイトルを並べています。  それぞれのタイトルについては、書名、著者名、原本出版年、点字巻数の順に記載しています。  ・倫理学、道徳 「いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学(王様文庫)」内藤 誼人 著 2018年 2巻  ・日本史 「江戸の長者番付:殿様から商人、歌舞伎役者に庶民まで(青春新書INTELLIGENCE)」菅野 俊輔 著 2017年 3巻  ・教育 「あの日のオルガン:疎開保育園物語」久保 つぎこ 著 2018年 4巻  ・医学 「「減塩」が病気をつくる!(青春新書INTELLIGENCE)」石原 結実 著 2017年 3巻  ・日本文学小説・物語 「彼女は存在しない(幻冬舎文庫)」浦賀 和宏 著 2003年 5巻 「駐在刑事」笹本 稜平 著 2006年 6巻 「銀河食堂の夜」さだ まさし 著 2018年 4巻 「白磁海岸」高樹 のぶ子 著 2017年 4巻 「朝が来る」辻村 深月 著 2015年 5巻  ・日本文学評論・エッセイ・随筆 「あの日の「徹子の部屋」(朝日文庫)」黒柳 徹子 著 2018年 5巻 「お釈迦さま以外はみんなバカ(インターナショナル新書)」高橋 源一郎 著 2018年 2巻 《 新刊案内 》  センターで新しく受け入れた図書をご案内します。  どうぞご利用ください。  今月は、デイジー(音声のみ)が6タイトル、マルチメディアデイジーが3タイトル、点字が3タイトルです。  マルチメディアデイジーは、専用の再生ソフトを使用することにより、音声とともに文字情報や画像を見ることができますが、プレクストーク等で音声のみを聞くこともできます。  貸出中の場合は予約になりますが、お待ちくださいますようお願いいたします。  返却期限は図書が届いてからお手元に2週間です。  延長を希望される場合は、ご連絡をお願いいたします。    また、ご利用いただける図書は、目録や新刊案内にあるものに限りません。  書名がわからない場合でも、ご希望の著者や内容などからお探しします。  当センターで所蔵していないものは、全国のネットワークを利用してお探しします。    ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。 ●録音図書 ◎一般向けの本 〇哲学(2タイトル) 書名 自分を強くする動じない力:交渉、プレゼン、スピーチ、面接、初対面… 面白いくらい実力を発揮していく7つの法則 荒谷 卓 著 デイジー3時間58分 塩田 美智恵 音訳 発行 三笠書房 2018年 内容 ちょっとした体の動かし方、心の整え方を知っていれば、どんなときでも自分の実力を思う存分、発揮することができる。「全体像から見通す」「下腹に重心をもっていく」など、タフな人間力を身につけるための法則を紹介する。 書名 わたしが正義について語るなら(ポプラ新書) やなせ たかし 著 マルチメディアデイジー3時間32分 発行 ポプラ社 2013年 内容 正義を生きるのは大変だけれども、その中で僕たちが目指すべき正義とは…。やなせたかしが、アンパンマンや、たくさんのキャラクターを書く中で考えてきたことを語る。 〇社会科学(1タイトル) 書名 一流の人は小さな「ご縁」を大切にしている 高井 伸夫 著 デイジー4時間1分 江本 幸子 音訳 発行 かんき出版 2017年 内容 成功者や一流の人は、大きな縁だけでなく小さな縁も大切にしている。著者が多くの人から学んで実践してきた、人生を豊かにする「縁づくりの智恵」を、余すところなく紹介する。 〇自然科学(1タイトル) 書名 素敵なご臨終:後悔しない、大切な人の送りかた(PHP新書) 広橋 猛 著 デイジー5時間31分 塩田 美智恵 音訳 発行 PHP研究所 2018年 内容 大切な人が余命を告げられた時、周りは何ができるのか。心のケアから、実際の痛みを知る方法まで、緩和ケアの第一人者が家族だからこそしてあげられることを解説。本人も家族も納得し、「素敵なご臨終」を迎えるための教科書。 〇技術・工学(1タイトル) 書名 木材・石炭・シェールガス:文明史が語るエネルギーの未来(PHP新書) 石井 彰 著 デイジー7時間6分 小野田 映子 音訳 発行 PHP研究所 2014年 内容 太陽光発電などの再生可能エネルギーはエネルギー効率が非常に低く、大規模な生態系破壊が必要条件となる。「再生可能エネルギー幻想」ともいうべき、エネルギーの現実を語り、シェールガスや新技術が変える未来を見通す。 〇芸術・美術(1タイトル) 書名 企画展がなくても楽しめるすごい美術館(ベスト新書 ヴィジュアル新書) 藤田 令伊 著 デイジー6時間24分 辻田 峯夫 音訳 発行 ベストセラーズ 2016年 内容 所蔵品に、建築に、作家性に感動!一度は見たい名品のある美術館、建築や庭が見事な美術館、スペシャルな個性が際立つ美術館など、「企画展がなくても楽しめる」すごい美術館60館を厳選し紹介します。 〇文学(1タイトル) 書名 ささやかな永遠のはじまり(角川文庫) 盛田 隆二 著 デイジー12時間30分 木村 久美子 音訳 発行 角川書店 2011年 内容 花織は出版社で編集総務を担当する25歳。新雑誌の創刊準備に迫われながらも、大手電機メーカーに勤める岡島との結婚を控え、充実の毎日を過ごしていた。しかし、挙式直前に女性問題が発覚、別れを決断する。悲しみを忘れるべく仕事に打ち込むなか、花織は新雑誌の編集長の優しさに癒され、そして恋に堕ちていく。切なく狂おしい“純愛”傑作長編。 ◎児童向けの本 〇哲学(1タイトル) 書名 成功と失敗(哲学のおやつ−10代からの考えるレッスン−) ブリジット・ラベ、ミシェル・ピュエシュ 著 西川 葉澄 訳 マルチメディアデイジー1時間13分 発行 汐文社 2008年 内容 おやつを食べるように気軽に楽しく、哲学にふれてみませんか? 身近な例をとりあげ、「成功」「失敗」ってなんなのかを考えます。すぐに答えの出る問いではないけれど、今だからこそ考えたいテーマばかりです。 〇文学(1タイトル) 書名 そらいろ男爵 ジル・ボム 文 ティエリー・デデュー 絵 中島 さおり 訳 マルチメディアデイジー19分 発行 主婦の友社 2015年 内容 鳥が飛ぶ青い空と、読書をこよなく愛した男が、爆弾のかわりに投げたものは…。二頭身でちょびひげという、とぼけた風貌のそらいろ男爵が、ユニークな方法で国と国との戦いをやめさせたお話。 ●点字図書 ◎一般向けの本 〇産業(1タイトル) 書名 ヒトはイヌのおかげで人間(ホモ・サピエンス)になった ジェフリー・M.マッソン 著 桃井 緑美子 訳 点字4巻 発行 飛鳥新社 2012年 内容 4万年前、狼とヒトは出会い、互いに教え合い、学び合うという関係を築いた。そして手をたずさえるように「共進化」し、狼は犬に、ヒトはホモ・サピエンスになった。大胆な仮説と膨大かつ緻密なリサーチによる動物学の新説。 〇文学(1タイトル) 書名 宇宙探偵ノーグレイ(河出文庫) 田中 啓文 著 点字4巻 杉本 かをり 点訳 発行 河出書房新社 2017年 内容 怪獣惑星で発生した人気怪獣の密室殺人、罪を犯すことが不可能な天国惑星で起きた連続殺人…。極秘に事件を解決するために招かれるは、宇宙探偵ノーグレイ!奇想天外な結末が待つ、宇宙ミステリ作品集。 ◎児童向けの本 〇文学(1タイトル) 書名 ディッキーの幸運 E.ネズビット 著 井辻 朱美、永島 憲江 訳 点字6巻 発行 東京創元社 2014年 内容 ロンドンに住む貧しい少年ディッキーにはすごい秘密があった。17世紀に時間旅行できるのだ。そこではディッキーは貴族の御曹司で…。愛と感動の時間旅行ファンタジー。「アーデン城の宝物」の続編。