視覚障害者センターだより 〜ロバと五つのにんじん〜 平成28年3月(通巻306号) 発行 岡山県視覚障害者センター 郵便番号 700−0927 岡山市北区西古松268−1 電話 086−244−1121 FAX 086−244−1043 Eメール ossfc@nifty.com 声の欄は随時募集しています。 内容とその形式は問いませんが、ワープロやエディタのデータ、あるいはメールが可能な方は、これらでいただければ大変助かります。 皆さまからの原稿をお待ちしています。 読み始めたら途中でやめられなかった面白い本、おいしかった飲食店、便利グッズ、趣味など何でもけっこうですので、ぜひ声の欄に原稿をお寄せください。 センター利用者の井上健一さんが、日盲連主催の第41回全国盲人文芸大会随筆・随想の部に応募され、見事1位の最優秀賞に選ばれました。 決定前後の思いを「声」欄の「晴天の霹靂」に、また受賞作の「還暦までの記録」を今号に掲載させていただきました。 センター便りは、ほぼ同文のものをセンターの点訳・音訳奉仕員に配布しています。 「声」欄の内容を奉仕員にもお届けすることになりますので、ご了承ください。 今月の内容  お知らせ(4件) ・声 井上健一さんからの「青天の霹靂」と受賞作「還暦までの記録」 ・3月18日(点字ブロックの日)の行事について ・文芸作品コンクール入選者発表 ・「みちしるべ」から平成28年度視覚障害者生活訓練について考える ・国政選挙や県議会・市議会議員の視覚障害者用に作成される選挙公報をご存知ですか。 ・新刊案内をお伝えします。 《 お知らせ 》 1.2016年4月の休館日と図書整理日   休館日は毎週火曜日と29日(金)の昭和の日です。   図書整理日は28日の第4木曜日です。   この日は終日留守番電話対応とさせていただきます。 2.センターからPTN2を借りておられる皆様へ。     センターのPTN2をご利用の1・2級の身障手帳をお持ちの方へのお願いです。   最近センターに登録される方が少しずつではありますが、増えてきています。   見えなくなったら点字と思われている方が多いのですが、録音図書の説明をすると、ほとんどの方が興味を持たれます。   プレクストークをお貸しすることになるのですが、残りが少なくなってきました。   そこで、1年以上センターのPTN2をご利用の1・2級の方へのお願いです。   幸いプレクストークは日常生活用具の対象になっており、可能な方はこの制度で購入していただいた後、返却していただければ大変助かります。     新しい利用者のためにご協力をよろしくお願いいたします。 3.デイジーのSD・CFカードによる貸出のご案内     センターではこれまでデイジー録音図書をCDでのみ貸し出していましたが、今後はそれに加えて、SDカードおよびCFカードでの貸出も行なうことにしました。   カードはセンターで用意します。   SD・CFカードはCDに比べ記録容量が大きく、カード1枚に多くのタイトルを入れることができます。   その特徴を生かし、1枚に10タイトルまで入れて貸し出します。   SD・CFカードの返却期限はお手元に1ヶ月とします(CD等他の貸出形態については、これまで通り2週間です)。   ご返却される前に次回のお申し込みをしてくださって結構です。   これは他の貸出形態についても同様です。   タイトルによっては、カードでの貸出が出来ないもの、用意に時間がかかるため次回以降の貸出になるものがありますのでご了承ください。     お申し込みの際には、お使いの再生機やパソコンに対応したカードをご希望ください。   プレクストークについて、SDカードが使用できるのはPTN2、PTP1、リンクポケットの3機種で、CFカードが使用できるのはPTR2、PTR1の2機種です(PTR1で使用するには対応したカードアダプタが必要です)。   カードは専用のケースに収納し緩衝材で包んだ上で、CD用の郵送ケースに入れて貸し出しますが、カードも専用のケースも非常に小さいものですので、紛失しないようにご注意ください。   また、ご返却の際に専用のケースに収納しにくい場合は、無理に収納せずにカードと専用のケースの両方を緩衝材に包んだ上で、CD用の郵送ケースに入れてご返却ください。     どうぞご利用ください。   ご不明な点はご遠慮なくお問い合わせください。 4.白杖(直杖)を作っていただけます。   白杖の長さを利用者の身長に合わせて作っていただけます。   身長マイナス40〜45センチメートルが標準のようですが、ご希望の長さのものを作っていただけます。   ただし最も長いものでも131センチメートルです。   これ以下であればその長さは自由がききます。     この杖は、ゴルフクラブの不要になったものを再利用して作成したものです。   カーボンシャフトなので非常に軽く、また丈夫です。     上記の身長に合わせる杖をご希望の方はセンターまでお知らせください。   身長に合わせる杖の作成には約2週間お時間をいただきます。   杖は無料で差し上げますが、センターまで受け取りに来てくださればと思います。   来館が難しい方には郵送しますが、送料の実費が必要となります。 《 声 》  「青天の霹靂」  センター利用者 井上健一  12月に入って間もなくの頃だった。  会社から家に戻ると、母親が、「お前日盲連から電話があったぞ。又電話しますとの事じゃった。」と言う伝言を聞いて、その後の電話を心待ちにしていた。  我が家はそれぞれの仕事の都合で、昼間は電話に出られない事が多い。  それから数日が過ぎたある日の事だった。  私は同僚の車に便乗させていただいて通勤をしている。  到着の頃合いを見て、女房に迎えに来てもらうために携帯で電話をしているのだが、スイッチを入れた途端電話が鳴った。  それは津山の方からだった。    その内容は、日盲連の文芸作品で私の随想が入賞しているという朗報だった。    我が家に帰り、いつものようにパソコンのスイッチを入れ、メールを確認した。  その中に、個人メールで、『おめでとう』と言うタイトルがあった。  その下には同じ方が、グループメールに紹介して下さったタイトルがあった。  まさに青天の霹靂であった。  送信していただいた方に、直ちにお礼メールを送信した。  これに反応した多くの皆さんから、受賞作品の送信希望をいただいた。    私は、年功序列で誰でも貰える地域消防団の功労賞以外には賞を貰ったことが無い。  こんな具合だからタイトルを尋ねられても、思い出せなかったのである。  それから数日経ったが、主催者側からは何の連絡もない。  インターネットで検索すると、確かに私の名前と応募したタイトルが、載っていた。  その夜にメールアドレスを見つけメールを送信した。  翌朝メールを開くと、すでに返事が入っていた。  この時点で、県視障協の方に確認を依頼していたメールの削除を要請した。   後日日盲連と、東京都知事からの賞状が届いた。    私は複数の、視覚障害者関連のグループメールに加入し、情報交換を行っている。    視覚障害者関連のメーリングなので、読むと言うよりも読み上げソフトを利用して、聴いている人が多い。  だから私は聴きやすい文章にしている。  今回受賞できたのも、メールの送受信が基礎になっていると思っている。  今後もメール送信を積極的に行いたいものである。 受賞作「還暦までの記録」  私は昨年の九月に還暦を迎えた。  無事に還暦を迎える事は私の目標の一つでもあった。  私は昭和二十九年の九月に自宅で、生まれたそうである。  戦後の混乱期から、ようやく落ち着きが出かけた頃である。  田舎では産婆さん(現在では助産師さん)を呼んで、各家庭で出産する事が常であった。  ヘソの緒を切り取った後の、ヘソの消毒も産婆さんの仕事であった。  私は早産の未熟児で、約千九百gしかなかったそうだ。  私が生まれて数日後に事件が起こった。  事件というのは、産婆さんがクレゾールの原液の入ったビンを、我が家に忘れて帰ってしまった事が発端であった。  これを使ってヘソを消毒すればよいのだと思った祖母が、希釈せずに塗布したそうだ。  異変に気が付いたのは外から戻って来た祖父だった。  私の寝顔を見るために部屋に入った途端、クレゾールの強い臭いに、驚いたそうだ。  更に私が仮死状態になっている事にも、気が付いたようだった。  原因を知って、家族は、蜂の巣をつついたような騒ぎになったそうだ。  我が家は町の中心街から四q以上離れた山の上の集落である。  産婆さんが来るまでにはかなり時間がかかる。  ようやく産婆さんが到着した。  私の姿を見るなり両親に向かって「あんたらぁまだ若いんんじゃぁけん、次を考えたほうがえぇでぇ。こねぇな未熟児がこれほどの目に合って、無事に成長するとは思えん。」と、一言告げたそうだ。  産婆さんが帰った後、とりあえず湯タンポを抱かせていたそうだが、手の施しようもなかったので、そのまま寝かしていたそうだ。  だれもが諦めかけていた深夜に、鳴き声をあげたそうだ。  沈黙から喜びに変わった瞬間だった。  特に祖父の喜びは大きかったようで、母乳が出にくかった母親の代わりに粉ミルクをしっかりと、買ってくれたそうだ。  そのおかげで、日増しに体重も増えていき、郡の健康優良児にまでなり、その様子を作文に綴った叔母が、森永乳業から賞を貰ったそうだ。  ようやく順調に行きかけた頃、大事件が起こった。  森永ドライミルクのヒ素混入事件であった。  この時私が飲んでいたのはGドライミルクで、ヒ素混入の工場とは別の都道府県で製造された物であった。  ここでもギリギリに命を救われたと言う事になる。  次は小学二年生になった時に、起こった話である。  突然熱が出て体中に痛みが来たので、内科の先生に往診を頼んだ。  聴診器で診察を終えた後、「急性の盲腸炎の可能性があるが、念のためレントゲンを撮ってみようか?」と言う訳で、その医院に急行した。  結果は急性肺炎だった。  もう少しで手遅れになる寸前だったそうだ。  少々話は変わるが、私に夜盲がある事に気が付いたのは、小学校入学前だった。  田舎なので、夜の星が良く見えるはずだが、十数個の星しか見ることが出来なかった。  従って、天ノ川や星座は、見たことが無い。  残念だったのは、以前の家の真下に、蛍が乱舞する場所があったのに、乱舞する蛍を見る事が出来なかった。  昭和二十九年頃と言えば、まだ食料も有り余るほどは無かったので、栄養不足による中途の夜盲症になる人も多かったようだ。  この頃は小学生の子供でも「おまえ鳥目か!鶏の肝を食べたら治るそうじゃぞ。」という言葉は誰でも口にしていた。  しかし、鶏の肝をいくら食べても鳥目が解消されることは無かった。  夜盲があっても昼間の視力はかなりあったので、自動二輪と普通車の運転免許も高校在学中に取得できた。  高校生活もわずかとなり、進路を決めることになったが、夜盲の事を考えると、なかなか決まらなかった。  だからと言って、進学する気にもならなかった。  一番あこがれていたのは、当時の国鉄の職員だったのだが、夜間に活動する事が多いので、諦めたのである。  しかし、どこかに就職しなければならないので、行き当たりばったりで、自動車会社の営業を希望した訳であった。  高校卒業したての者に、いきなり営業をさせる訳には行かないので、一年間は研修を兼ねて事務をすることになった。  しかし転機は、いきなりやってきた。  昭和四八年の第一次オイルショックがやってきたのである。  その時、タイミング良く故郷の隣の農協から誘いの声がかかった。  翌年の三月下旬で退職し、四月上旬から農協職員になったのだが、夜間に出歩く事が多いのに、改めて仰天した。  どうにか夜盲を治す方法は無いものかと、ごぶさたしていた眼科を訪れて、『網膜色素変性症』の病名と特徴を知った。  これまで夜盲に苦しめられたが、見えない状況がどのような事かを、長年経験してきたので、将来失明する可能性が大きいと聞いても、それほどのショックは感じなかった。  この時点で私の心を大きく揺さぶるものがあった。    それは、見えなくなる事を気にせずに、明るく頑張ろうと言う気持ちだった。  だがその決意とは逆に世間の厳しさを目の当たりにする経験を何度もした。    この時にはそれほど感じてはいなかったが、昼夜自動車を運転していると、事故の確率も高くなってくる。  ある日LPガスを配達していた時、約四〜六mはあろうかと思える場所から、自動車ごと転落した事があるが、軽い打撲で済んだ。  この事故の後、わずか二m程度の川に転落した同僚が、即死した。  この時ほど、運命の怖さに思わず身震いした事はなかった。  父親も、還暦直前で、交通事故死しているし、従兄弟も、還暦直前に病死した。  このような経験から還暦を一つの目標としてきた。  昭和から平成になり、十年以上過ぎた時、思わぬ出会いがあった。  それは不定期で訪れていた眼科の先生からの言葉だった。  「こんな会があるけど、参加してみたらどうかな?」そう言った先生の手には一枚の案内状が握られていた。  この案内状は、〔日本網膜色素変性症協会岡山連絡会設立〕の案内文書だった。  直ぐに参加申し込みをし、二日後に集合場所である当時の岡山駅中央改札口に到着した。  そこには多くの白杖を手にした人がいた。  まさか同じ場所へ…と思うと同時に、もし同じ場所なら将来はこうなるのかなぁと思った。  当たらないで欲しいと思った感は、見事に当たった。  会場に着くと、更に多くの人が会場を埋めていた。  網膜色素変性症と言う病名を持つ人はこんなにも多いのかと、改めて知った。  この場では、全く知らなかった医療関連の話や、福祉制度の話を、聞くことが出来た。  そして、病気の進行状況も、百人百色だなぁと思った。  相撲の番付で言えば私の状態など、まだ幕下だとも思えた。  〔明るく生きても暗く生きても、一生は一緒 明るく生きなきゃぁ損するよ〕と言う気持ちを常に持とうと、改めて感じた。    同じ悩みを持った多くの仲間とも知り合うことが出来、治療法がないと言われてきた網膜色素変性症も、平成になってからあわただしく、治療法の確立に向けて、動き出している。  あと何年生きられるかは誰にも判らない事ではあるが、これからも希望を持って生きていきたいと思う。 《 3月18日(点字ブロックの日)の行事について 》  3月18日は、点字ブロックが世界で初めて岡山市中区の原尾島交差点に敷設された日です。  このことを記念して、毎年「点字ブロックを守る会」(代表竹内昌彦)は記念行事を行ってきました。  今年は次のような行事を計画しておりますので、どうぞご参加ください。  主な日程 13時; 映画「見えないから見えたもの」第1回上映 15時; 映画「見えないから見えたもの」第2回上映 16時30分; 「点字ブロックの上に物を置かないでください」と書いたティッシ ュ配り(岡山駅東口広場、エスカレータを降りたところ) 18時30分; 記念式典 19時30分; 映画「見えないから見えたもの」第3回上映 21時30分; 閉会  会場; 映画と式典は、イオンシネマ岡山(イオンモール5階)で行います。  申し込み 「映画」「ティッシュ配り」「式典」のいずれかに参加を希望される方は、竹内昌彦までご連絡ください。 特に映画については、申し込みがない場合入場できないことがありますのでご注意ください。 竹内(рO86−275−0112) 《 文芸作品コンクール入選者発表 》  岡山県視覚障害者協会主催の平成27年度文芸作品コンクールの入選者が決定しましたのでお知らせします。  今回は応募してくださった方が多く、川柳は13人から38句、俳句は11人から29句、短歌は8人から19首が寄せられました。  選者は龍短歌同人であり、就実学園で国語の教師としてお勤めの土師康生先生です。  応募くださった皆さん、ありがとうございました。  そして入選された皆さんおめでとうございます。  賞品と参加賞を順次お送りしますのでお待ちください。  来年度も、ご応募をよろしくお願いします  (俳句)  「天」 仏壇の花びらが散り盆がいく  末安 章雄 さん     (ぶつだんの はなびらが ちり ぼんが いく  すえやす あきお さん) 評;この句は景を詠みながら、作者の心情や暮らしぶり、故人を偲ぶ心情などが浮かび上がる、そんな印象を受けました。   飾り気のない表現ですが語それぞれが生きています  「地」 白杖の歩みは遅々と初時雨  大賀 淳 さん     (はくじょうの あゆみは ちちと はつしぐれ  おおが じゅん さん)   評;地の句は「白杖」と季語である「初時雨」の取り合わせの妙に惹かれました。   それらを繋ぐ「遅々として」の語も景を思わせるのに効いています。  「人」 蝋梅の香り確かめ角曲がる  竹内 昌彦 さん     (ろうばいの かおり たしかめ かど まがる  たけうち まさひこ   さん)   評;人の句では、梅の香りが確認となって角を曲がるという景を詠むことで作者の心情が浮かび上がる句です。  俳句は応募作品も多く、選外にも惹かれた句が多くあり、内容が充実していました  (短歌)  「天」 裏表凹凸の差に白と黒触れて読み切る盲人オセロ  大賀 淳 さん     (うらおもて おうとつの さに しろと くろ ふれて よみきる もうじん オセロ  おおが じゅん さん)  評;「裏表」、「凹凸」、「白と黒」と対義の語がリズミカルに流れ、結句の「盲人オセロ」と体言止めで余韻を持たせるという形のよい、完成度の高い歌です。  「地」 節くれし教え子の指なでさする子供を育てた孫も育てた  竹内 昌彦 さん     (ふしくれし おしえごの ゆび なでさする こどもを そだてた まごも そだてた  たけうち まさひこ さん)  評;地の歌は、作者の実感が下の句によく表現されています。   こういう場合、口語の方が奏功するといえるでしょう。  「人」 戦死せし叔父の墓石に刻まれしあはれ享年二十七歳  藤沢 弘一 さん     (せんし せし おじの はかいしに きざまれし あわれ きょうねん 27さい  ふじさわ ひろいち さん)   評;人の歌ではあはれを感じつつ、指で墓を撫でる作者の景がはっきりしており、歌に実感の重みを与えています。   言葉には出さないけれども、平和を願う思いが溢れます。  短歌は、俳句や川柳に比べ、思いや主張を表せる詩型であり、作者自身の姿を描き出します。  (川柳)  「天」 生き様を背中で見せる白い杖  久保 瞳 さん     (いきざまを せなかで みせる しろい つえ  くぼ ひとみ さん)   評;天の句は、結句の「白い杖」に焦点が絞られ、作者の自負が感じられます。   その心意気に惹かれました。  「地」 袖の下渡すは両手取る片手  大賀 淳 さん     (そでの した わたすは りょうて とる かたて  おおが じゅん さん)   評;地の句は、面白い情景ですね。   金を渡しながら頼む側は、ある意味卑屈に両手で渡し、金を受け取る側は横柄に片手で取る。   賄賂の授受を見たことはもちろんありませんが、いかにもこういう風なんだろう、そう思わせる句です。  「人」 介護職夜は自宅で親を看る  難波 哲史 さん     (かいごしょく よるは じたくで おやを みる  なんば てつし さん)     評;人の句は、今の日本の現実を川柳らしく滑稽味を入れて表現しつつ、切実にも詠んでいます。   その落差をうまく表現しています。  今回も審査することで、私自身が勉強をさせていただきました。  応募作品も年々増え、質的にも向上しています。  来年もよき作品に出合えることを楽しみにしています。 《 平成28年度視覚障害者生活訓練について考える 》  みちしるべとして視覚障害者の生活訓練を実施して2年がたちます。  最初は試行錯誤しながらの取り組みでしたが、おかげ様で利用者さんからの紹介などがあり、順調に訓練が行われています。  今回は2年間のみちしるべでの訓練を振り返りながら、具体的にどのような方が利用者として訓練を受けているのかを紹介したいと思います。  2年目になって大きく変わったことは、歩行訓練以外にパソコン訓練(音声)を利用した初級程度の訓練(文字入力・メール作成等)、点字訓練、すみ字訓練、日常生活動作訓練(調理訓練、ADL訓練)、当事者・家族・支援者に対する研修(白杖を利用した場合の援護の仕方)、家族での支援の工夫、リハビリテーション医療と訓練の関わり、訓練に関する講座が実施されたことです。    訓練を受けたい方は、まず、視覚により生活面でどのような不便があるのかの聴き取りをして訓練するかどうかの確認をします。  訓練時間などは、利用者と訓練士との間で調整をします。  必ずこの日・時間帯でなければならないことはありません。  一回の訓練時間は、1〜2時間程度です。  利用者の理解にもよりますが、基本的には1週間に1回で3か月での終了を考えています。  利用者さんのニーズに沿った内容を考えていますので、どんなことを訓練するのかとか考えている方も是非相談してもらえればありがたいです。  歩行、パソコン、点字、すみ字、調理、ADL、が訓練可能です。  また、相談や講座の開催などお気軽にご連絡下さい。  みちしるべの特徴として、訪問型の訓練であることが挙げられます。  視覚障害者にとって移動の不自由、情報量の不自由があります。  そのどちらも、ご自宅への訪問をすることで解決に向けての試みにも繋がることだと考えます。  また、1年目は岡山市での歩行訓練だけだったのが、2年目は倉敷市、岡山県での事業拡大になりました。  周りに相談できる場所がなかった方も、訓練に関しては環境が整ったと考えます。    3年目はこの事業の在り方の情報を全ての視覚障害者に伝え、視覚により不自由を蒙っている方が少しでも軽減されるようにしていきたいです。  地域生活支援事業所みちしるべの連絡先 電話:086−250−9912 メール:miti9912@gmail.com 《 国政選挙や県議会・市議会議員の視覚障害者用に作成される選挙公報をご存知ですか 》  今年の7月には参議院議員選挙があります。  ひょっとすると衆議院議員選挙もあるかもしれません。  立候補者が有権者に訴える「選挙公報」は、視覚障害者用に3種のメディア(デイジー・カセットテープの録音版、点字版、拡大文字版)が用意されています。  皆さんの手元にはこれらが届いているでしょうか。  投票する時の重要な判断材料になります。  今までに届いたことのない方で、配布を希望される方は岡山県視覚障害者協会までどのメディアを希望されるかご連絡ください。 連絡先 086ー271ー0933 《 新刊案内 》  センターで新しく受け入れた図書をご紹介します。  どうぞご利用ください。  今月は、デイジーが17タイトル、点字が4タイトルです。  なお、返却期限は資料が届いてからお手元に2週間です。  延長を希望される場合は、ご連絡をお願いいたします。 ●録音図書 ◎一般向け図書 〇哲学(1タイトル) 書名 人生は価値ある一瞬(ひととき) 大谷 光真 著 デイジー 3時間6分 塩田 美智恵 音訳 発行 PHP研究所 2015年 内容 不安や迷いは当たり前。背伸びせずに、毎日を精いっぱい生きればいい。西本願寺前門主が、仏教を手がかりに、現代生活のさまざまな課題に対処しながらこころ豊かに生きるヒントを語る。 〇歴史(2タイトル) 書名 大宅壮一 自伝 人間の記録 179 大宅 壮一 著 デイジー 4時間31分 発行 日本図書センター 2010年 内容 軽妙な語り口で人物、世相を鋭く捉え、評論家・ノンフィクション作家として活躍した著者が、多くのジャーナリストを育成した生涯を振り返る。 書名 淀川長治 私の映画遺言 人間の記録 176 淀川 長治 著 デイジー 7時間28分 発行 日本図書センター 2010年 内容 独特の語り口調で多くの映画ファンに親しまれた映画解説者である著者が、大正・昭和初期の映画黄金時代を、記憶も鮮やかに生き生きと語りつくす。 〇社会科学(1タイトル) 書名 韓国人の癇癪日本人の微笑み 柳 舜夏 著 河 鐘基、藤原 修平 訳 デイジー 9時間31分 塩田 美智恵 音訳 発行 小学館 2014年 内容 幼稚な復讐心と反日コンプレックスを捨てない限り、韓国は永遠に“日本に飼われた鵜”のままだ!韓国人作家が実名で「反日韓国」を批判した「あなたたちの日本」を翻訳し加筆修正した日本版。 〇自然科学(2タイトル) 書名 ホリスティック医学入門 ガン治療に残された無限の可能性 角川oneテーマ21 帯津 良一 著 デイジー 4時間42分 原 宗子 音訳 発行 角川書店 2009年 内容 治療の基本は、医師と患者さんの徹底的な「戦略会議」。気功、呼吸法、食事療法、漢方薬…。「ホリスティック医学」の第一人者が薦める、西洋医学を否定しない画期的な代替療法を紹介。 書名 健康は〈眼〉にきけ 名医が教える眼と心のSOS 若倉 雅登 著 デイジー 5時間14分 内田 和江 音訳 発行 春秋社 2011年 内容 近視、老眼、眼精疲労から、うつやストレスによる眼の異常まで。眼とメンタルには驚くべき関係がある! 視力低下や見え方の不調に関する疑問と不安に、心療眼科医が答える。 〇芸術・美術(6タイトル) 書名 田河水泡 のらくろ一代記 人間の記録 173 田河 水泡、高見澤 潤子 著 デイジー 7時間58分 発行 日本図書センター 2010年 内容 一世を風靡した漫画「のらくろ」誕生の秘話など、続々とキャラクターを生み出し、明治・大正・昭和を生きた漫画界の「大御所」の自叙伝。 書名 渡辺貞夫 ぼく自身のためのジャズ 人間の記録 174 渡辺 貞夫 著 岩浪 洋三 編 デイジー 7時間57分 発行 日本図書センター 2011年 内容 日本を代表するミュージシャンとして、ジャズの枠に留まらない独自のスタイルで活躍する著者が、自らの経験とジャズへの思いを語る。 書名 森下洋子 バレリーナの情熱 人間の記録 185 森下 洋子 著 デイジー 4時間48分 発行 日本図書センター 2012年 内容 日本のトップバレリーナの地位についている著者が、一人の女性としての素顔、華麗な舞台の裏話、そして偉大なアーティスト達との思い出などを綴る。 書名 今村昌平 映画は狂気の旅である 人間の記録 175 今村 昌平 著 デイジー 5時間42分 発行 日本図書センター 2010年 内容 映画「楢山節考」「うなぎ」など、人間の欲望を鋭い人間観察と独自のスタイルで描き、世界を魅了する映画を撮り続けた映画監督が、自身の歩みを語る。 書名 具志堅用高 リングはぼくの戦場だ 人間の記録 186 具志堅 用高 著 デイジー 4時間39分 発行 日本図書センター 2012年 内容 WBA世界ジュニアフライ級タイトルを13度防衛した著者が、リングに青春のすべてを注ぎ、ボクシングを通して人間として成長した軌跡を綴る。 書名 千玄室 お茶をどうぞ 人間の記録 178 千 玄室 著 デイジー 5時間35分 発行 日本図書センター 2010年 内容 国際的な視野で茶道文化の浸透に取り組んできた著者。裏千家15代家元として、茶道界としては初の文化勲章を受賞した彼が、自らの歩みを振り返る。 〇文学(5タイトル) 書名 曽野綾子 天駈けるほどの軽やかな魂の自由 人間の記録 180 曽野 綾子 著 外尾 登志美 編 デイジー 11時間34分 発行 日本図書センター 2010年 内容 23歳の時に書いた小説が芥川賞候補になり、文壇デビュー。神、命、社会、戦争など幅広いテーマで人間を描き続けてきた著者が、自らの歩みを振り返る。 書名 捕縛 石田三成の無念と執念 加藤 嶺夫 著 デイジー 5時間16分 江本 幸子 音訳 発行 郁朋社 2014年 内容 自刃せず敢えて捕縛される道を選んだ三成の秘められた真実とは。関ケ原の合戦の大勢が決した後、少数の部下を伴い伊吹山中を敗走した石田三成の執念を追う歴史小説。 書名 岸田今日子 あかり合わせがはじまる 人間の記録 184 岸田 今日子 著 デイジー 6時間1分 発行 日本図書センター 2012年 内容 個性的な役者として、また独特の感情豊かな声で声優として幅広く活躍した著者が、子ども、舞台、出会った人々、好きなものなどについて綴る。 書名 星新一 きまぐれ星のメモ 人間の記録 187 星 新一 著 デイジー 9時間10分 発行 日本図書センター 2012年 内容 「ショートショートの神様」と呼ばれ、奇抜な発想と意外な結末で読者を魅了した著者。生活や仕事場、旅、思い出など、様々なテーマの随筆を収録する。 書名 薔薇の輪 創元推理文庫 クリスチアナ・ブランド 著 猪俣 美江子 訳 デイジー 9時間54分 佐藤 淑子 音訳 発行 東京創元社 2015年 内容 ロンドンの女優エステラ。その絶大な人気は、体が不自由な娘との交流を綴った新聞の連載エッセイに支えられていた。ところが、服役中の危険人物の夫が病気のため特赦で出所し、死ぬ前に娘に会いたいと言い出して。 ●点字図書 ◎一般向け図書 〇哲学(1タイトル) 書名 わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか? 幻冬舎文庫 はあちゅう 著 点字 4巻 小川 正子 点訳 発行 幻冬舎 2014年 内容 卒業旅行に25社が協賛!この不況下で、なぜ?錚々たる企業が女子大生の「世界一周旅行」のスポンサーに。企画立案、アポイントどり、プレゼンテーションから、70日間で世界一周を成し遂げるまでの涙と汗の全記録。 〇社会科学(2タイトル) 書名 逆風を追い風に変えた企業 元気印中小企業のターニングポイント 坂本 光司、坂本研究室 著 点字 4巻 右近 安美 点訳 発行 静岡新聞社 2014年 内容 不況に強い日本の元気企業に学べ!「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者・坂本光司教授が紹介したい、とっておきの元気印中小企業17社。ターニングポイントを活かす7つのポイントも解説する。 書名 華麗なる英国貴族101の謎 島崎 晋 著 点字 3巻 高本 良子 点訳 発行 PHPエディターズ・グループ 2014年 内容 貴族はどんな暮らしをしていたのか?なぜ執事や従者が必要だったのか?メイドはどんな女性が採用されたのか?英国貴族、使用人、メイドをめぐる謎を、明らかにする。 〇自然科学(1タイトル) 書名 食べる量が少ないのに太るのはなぜか 幻冬舎新書 香川 靖雄 著 点字 2巻 山上 方子 点訳 発行 幻冬舎 2015年 内容 朝食を食べない人は5倍太る!少食なのに太ってしまうと嘆いている人は、食べる量ではなく、食べる時間や速度、順序に問題がある。82歳で病気知らずの女子栄養大学副学長が、時間を活かした画期的ダイエット法を伝授する。