視覚障害者センターだより 〜ロバと五つのにんじん〜 平成28年1月(通巻304号) 発行 岡山県視覚障害者センター 郵便番号 700−0927 岡山市北区西古松268−1 電話 086−244−1121 FAX 086−244−1043 Eメール ossfc@nifty.com 声の欄は随時募集しています。 内容とその形式は問いませんが、ワープロやエディタのデータ、あるいはメールが可能な方は、これらでいただければ大変助かります。 皆さまからの原稿をお待ちしています。 読み始めたら途中でやめられなかった面白い本、おいしかった飲食店、便利グッズ、趣味など何でもけっこうですので、ぜひ声の欄に原稿をお寄せください。 センター便りは、ほぼ同文のものをセンターの点訳・音訳奉仕員に配布しています。 「声」欄の内容を奉仕員にもお届けすることになりますので、ご了承ください。 今月の内容  お知らせ(5件) ・岡山県視覚障害者センター施設・サービスのご案内 ・サピエ図書館の紹介 センター所長 川田 忠茂 ・声 影山 智雄さんから「続原尾島キッド最終回」  ・声 小林 政利さんから「イスラームの世界 続編 2」 ・岡山県視覚障害者協会から第69回全国盲人福祉大会(青森大会)のご案内 ・新刊案内をお伝えします。 《 お知らせ 》 1.2016年2月の休館日と図書整理日   休館日は毎週火曜日と11日(木)の建国記念の日です。   図書整理日は25日の第4木曜日です。   この日は終日留守番電話対応とさせていただきます。 2.初心者対象音声パソコン講座のご案内   今年度も当センターの登録者を対象にした音声パソコン初心者講座を実施しています。   今年からは、受講される方の時間に合わせる形式のみにしています。     原則4日間、1日3時間、延べ12時間の講座ですが、臨機な対応も可能です.     センターの開館時間が9時〜17時のため、最も遅い場合でも、17時には終了します。   以前受講された方も、もう少しスキルアップを目指す方でも、その内容によっては対応が可能かもしれません。   講座を受けてみようと思われる方は、希望する4日間をお知らせください。   講師の都合のため、日時を変更していただくこともあります。 3.白杖(直杖)を作っていただけます。   白杖の長さを利用者の身長に合わせて作っていただけます。   身長マイナス40〜45センチメートルが標準のようですが、ご希望の長さのものを作っていただけます。   ただし最も長いものでも131センチメートルです。   これ以下であればその長さは自由がききます。   この杖は、ゴルフクラブの不要になったものを再利用して作成するものです。   カーボンシャフトなので非常に軽く、また丈夫です。     上記の身長に合わせる杖をご希望の方はセンターまでお知らせください。   身長に合わせる杖の作成には約2週間お時間をいただきます。     杖は無料で差し上げますが、センターまで受け取りに来てくださればと思います。   来館が難しい方には郵送しますが、送料の実費が必要となります。 4.プレクストークリンクポケット(以下リンクポケットと略)の紹介     日常生活用具給付制度対象商品なので、給付を希望される方は、地元の福祉事務所にご相談ください。   センターにもリンクポケットを用意しています。   体験が可能ですので、こちらもご相談ください。   リンクポケットとは、小型軽量で、これ1台でパソコンを使わずにCD、SD、サピエのデイジーオンラインサービスなど様々なメディアに繋いでデイジー図書が聴け、内蔵メモリやSDカードに録音もできるプレクストークです。   視力低下で難しくなっていた読書という余暇の楽しみを再び提供してくれます。   リンクポケットは、こんなことに使えます。 サピエのデイジー図書や雑誌を、パソコンを使わずに検索してすぐに再生。 ご自宅のインターネット環境に接続する、無線LAN機能を搭載しています。    パソコンを使わず、CDドライブから直接デイジー図書CDや音楽CDを再生したり、内蔵メモリやSDカードにバックアップして再生できます。  サピエのデイジーオンラインなら「貸出中」もなく聞きたいときにいつでも聞けます。 もうポストへのCDの返却も不要になるかも。    付属の無線親機は本体との接続設定済み。 ご自宅のインターネット環境に接続されたモデムにケーブル接続するだけです。     外付けCDドライブが付属しているから、お手持ちのデイジー図書CDもすぐに聴けます。    8GBの内蔵メモリに標準約120時間、最大約480時間たっぷり録音できます。    高音質音声合成によるテキスト文章の読み上げ    テキスト、htmlの他にもマイクロソフトのワード形式(docおよびdocx) も高音質読み上げ機能で滑らかに読み上げます。  しおり機能録 音図書や音楽データに、最大1万箇所のしおりをつけることができます。 また、ご自分の声でしおりをつける「音声しおり」機能も利用できます。 5.メンタルマップのお知らせ     先月号で紹介した以降に、新たに以下をサピエ図書館に登録しました。   どうぞご利用ください。   点字印刷物・CD(音声デイジー等)をご希望の方は、お知らせください。   E 岡山駅東西連絡通路   F 岡山一番街   引き続き、「宇野バス表町バスセンター」「天満屋バスステーション」を作成しています。   先月紹介した「さんすて」は店舗に大きな変動がありました。   「さんすて西館」が改装のため閉店し、その他にも店舗の変更が複数あります。   時期を見て改訂版を作成しますが、それまではご不便をお掛けしますので、ご了承ください。   《 岡山県視覚障害者センター施設・サービスのご案内 》  利用者の皆様に当センターのサービス内容をより知っていただき、大いに活用していただくためにご案内いたします。 ●岡山県視覚障害者センターとは  岡山県在住の視覚障害のある方への点字・録音図書の貸し出し、視覚障害関係団体への会議室の提供、ボランティアの養成、その他情報提供やご相談への対応などを行なう施設です。 ●提供サービス  特に記載がない場合、ご利用は原則無料です。  ご不明な点はお問い合わせください。  点字・録音資料の貸し出しサービス   点字図書、CD図書(デイジー規格)などを貸し出します。 1回のお申込みにつき5タイトルまで受付可能で、返却期限はお手元に2週間です。 送料は原則無料です。 希望図書が貸し出し中の場合は、予約として受け付けます。   当センターの蔵書でない場合でも、全国ネットワークのサピエ図書館を利用してお探しします。 書名がわからない場合でも、ご希望の著者や内容などからお探しします。   ご希望に応じて図書目録をお送りしています。 点字図書は点字版目録になります。 録音図書は点字版・活字版・録音版からお選びいただけます。   貸出可能な資料には、本以外にも映画の音声に解説を付けたシネマデイジーなどもあります。   また、雑誌の継続利用は、最初に一度お申込みいただければ結構です。 継続利用いただける雑誌の数には制限はありませんが、ご不要になった雑誌は停止のご連絡をくださいますようお願いします。  デイジー再生機の使用に関するサポート   デイジー録音図書を再生するには、専用の再生機または専用の再生ソフトが必要です。   代表的な再生機はプレクストークで4機種ありますが、各機種の使い方をサポートします。   また、デイジー再生機能のあるパソコンソフト・マイブックの使い方などもサポートします。  サピエの利用に関するサポート     サピエとは、全国の点字・録音資料を検索し、資料のダウンロードやリクエストなどができるインターネットを利用したサービスです。   視覚障害のある方は個人会員に登録することができますが、その登録申請の代行を行います。 登録後はご利用方法に関するサポートも行います。   また、リンクポケットのネット閲覧室へのデイジーの登録・削除の代行も行います。  点訳・音声訳サービス(プライベートサービス)   お手持ちの資料を、ボランティアが点訳・音声訳します。 ご希望に応じて点字・点字データ・カセットテープ・デイジーCDなどで提供します。 点字用紙やCDメディアなどの代金が必要です。  点字資料のプリントサービス   全国の点字図書館や点訳グループで製作された点字データを紙に打ち出して提供します。 点字用紙の代金が必要です。  対面朗読サービス   朗読ボランティアが対面でお手持ちの資料を朗読します。 日時を予約してご利用ください。 代筆も可能です。  JBニュースの提供   日本盲人会連合発行の「JBニュース」を希望者に点字またはメールマガジンで月曜日〜金曜日にお送りします。   また、電話ナビゲーションにより音声で聴くことも可能です。  ・電話ナビゲーションサービスの概要   全国共通電話番号0570−021802(料金1分ごと10円)に電話し、聞こえてくる案内に従ってください。   毎週月〜金の13時以降、最新のJBニュースをお聴きいただけます。 月〜金の12時〜13時は更新作業を行いますので、お電話はご遠慮ください。 その他の音声情報は、随時更新されます。  音声情報サービスの内容は次のとおりです。 (1)最新のJBニュース (2)全国の情報(毎月の日盲連会長挨拶、行事予定、NHKラジオ番組内容など) (3)地域の情報(各実施機関から提供される地域情報)  センターだよりの発行   新刊案内、お知らせなどを載せたセンターだより「ロバと五つのにんじん」を点字・デイジーCD・カセットテープまたはメールで毎月利用者全員にお送りします。  中途視覚障害者の相談事業   病気や事故で視覚障害者になった方の生活上のご相談を受け付けます。 必要に応じて点字・歩行・パソコンなどを個別に指導します。  用具・資料の展示と普及・紹介 視覚障害者の生活に便利な用具や拡大読書器などをロビーに展示し、普及や紹介をしています。 読み上げソフトを組み込んだパソコンも設置しています。   また、参考資料も展示しています。  各種集会・研修会・料理教室など   当センターには、大小の会議室・和室・調理室があり、視覚障害団体や三療の業団体などの集会や研修会が開かれます。   また、文化行事や料理教室なども行われます。  レファレンス・サービス(参考調査)   利用者の方の知りたいこと、調べたいことに対して職員が調査してお答えします。 インターネットによる調査が可能な範囲になります。 ●連絡先等   〒700−0927 岡山県岡山市北区西古松268−1 電話 086−244−1121 ファックス 086−244−1043 開館時間 午前9時〜午後5時 休館日 毎週火曜日、祝祭日(日曜日と重なる場合は月曜日、火曜日と重なる場合は火曜日と水曜日)、年末年始(通常は12月28日〜1月4日)   図書整理日を原則毎月第4木曜日に定めています。 この日は終日留守番電話対応となります。 交通機関  JR瀬戸大橋線 大元駅から徒歩5分   西古松バス停から徒歩2分 ・岡電バス 健康づくり財団病院・福祉センター行(大元駅経由) ・下電バス 門前・興除車庫・JR児島駅行(大元駅経由) 《 サピエ図書館の紹介 》      センター所長 川田 忠茂  久しぶりに「サピエ図書館」の紹介をさせていただきます。    サピエ図書館がスタートしたのは、平成22年4月でした。  その月は私がセンターに勤務し始めた月でもありました。  現在センターに利用登録されておられる方が約630名おられます。  このうち240名の方がサピエ図書館にも登録され、直接デイジー図書や点訳図書をダウンロードされ、読書を楽しまれておられます。    全国では、会員数が1万4千名を越え、まだまだ右肩上りで増え続けそうです。  サピエ図書館はどのようなサービスを提供しているの?     全国の点字図書館が作成した3種類のデイジー図書(録音図書)と点字図書が毎日新しく登録され、すでにデイジー図書は6万、点字図書は16万タイトルを越えています。   皆さんからのリクエストでセンターが所有していなくても、サピエにあれば提供ができます。 サピエ会員になっておられない方も、センターを通して、間接的にサピエが利用できますので、リクエストをどしどしお寄せくださればと思います。  どうすればサピエ図書館が直接利用できるの?   サピエ図書館に利用者登録をするだけで直接利用できるようになります。   登録法には2種あり、1つは、皆さん自身がパソコンを利用し、サピエのHPから登録する方法と、もう1つは、センターに代理登録を依頼する方法です。   主に視覚障害者を対象にした図書館なので、本人が手続きされる場合、その確認が求められます。 もし点字図書館に登録されていない場合、サピエ図書館は、登録希望者が視覚障害者であるかどうか分らないため、登録手続きへと進むことができません。 もし、点字図書館に未登録の場合は、まずそこへの登録が必要となります。   岡山県内にお住いの方ならまず岡山県視覚障害者センターへ登録することが必須です。   登録は電話でも可能ですので、お知り合いにまだセンターの利用登録をされてない方がおられれば、ご紹介をよろしくお願いいたします。  サピエ会員になるとすぐデイジー図書が利用できるの?   残念ながら会員になっただけでは、図書の利用はできません。   図書データはインターネット経由で受けとるため、どうしてもインターネットの環境が必要となります。   センターで体験可能なのは、   @音声パソコンとマイブックスリー   Aプレクストークリンクポケット   を使用しての体験です。 興味のある方体験されませんか。   体験をご希望される方は電話でご連絡ください。  どんなメリットがあるの?   サピエを利用する最大のメリットは、24時間中いつでも読みたい本を自宅にいながら短時間で読み始めることができることです。  費用   月額利用料金や登録費などは必要ありません。 無料でサピエのサービスを受けることができますが、運営には多額の費用を要するため、年に1度寄付のお願い文書が届きますが、寄付の有無によるサービスの差は全くありません。 《 岡山県立図書館からロービジョンWEEKの開催案内 》   あなたの目の力を最大限に!  文字が見えにくい、書きにくいを解消しませんか?  岡山県立図書館では1月19日(火)から1月31日(日)の期間をロービジョンWEEKとし、文字を読んだり書いたりすることが難しい方のサポートを行います。  WEEK期間中は1階エントランスホール入口で読み書きするための、サポート補助具の展示を行います。  また、高齢の方や目の病気をお持ちの方、視覚に障害のある方が、機器を使う場合、今より読みやすくなるように、その人に合った補助具の使い方や、目が疲れない読み方、書き方の相談会を開催します。  相談会には、国公立の大学病院眼科でロービジョンケアを担当している森田茂樹氏が来館されます。  また、森田氏ご自身の体験を踏まえた講演会も行います。  目の不自由な方はもとより、ご家族や知り合いの方で聞いてみたい、体験したいという方はぜひご来館ください。  講演会・相談会 演題 「視覚補助具の活用と工夫で、楽にここまで見える・読める」 日時 平成28年1月24日(日)14:00〜16:30(開場13:30) 場所 岡山県立図書館 2階 多目的ホール 講師 森田 茂樹 氏(ロービジョンケア実践家) 対象 一般 定員 120名 ◆講演会後、引き続き相談会を行います。  申込方法 *来館または電話・FAX等でお申し込みください。  県立図書館ホームページからもお申し込みいただけます。 *お名前、連絡先をお知らせください。 *FAXの場合は、題名を「ロービジョンウィーク講演会参加希望」として、下記までお送りください。 *定員に達した場合は締切日前でも申し込み受付を終了させていただきます。  申込先 岡山県立図書館 サービス第一課 総合サービス班 http://www.libnet.pref.okayama.jp/ 〒700−0823 岡山市北区丸の内2−6−30   TEL 086−224−1286  FAX 086−224−1208 *できるだけ公共交通機関でのご来館をお願いします。  駐車場は有料(1時間100円)です。  認証を受けると1時間のみ無料になります。 《 声 》 続原尾島キッド 最終回       センター利用者 影山 智雄  昭和25年から37年当時の人との関わりやどんな風に過ごしていたか 続編。  柳島(りゅうとう)信男先生 〜昭和25年岡盲に赴任して来られた2人の先生がいらっしゃいました。  そのお一人が柳島先生でした。  誰彼なしに話しかけていた私は運動場を横切っていかれる先生を見つけると、よく話し相手をしていただいたものでした。    当時学校の宿直と寄宿舎の舎監は、お二人の先生が当直されていたのですが、あの12月の火事のあった夜、学校の当直は柳島先生だったのでした。  その夜点呼の後で、寄宿舎の前の鉄棒の所で先生とお話ししていたのです。  高等部3年になったとき、副担任をしてくださいましたが、当時の私は勉強などそっちのけで音楽にのめりこんでおりました。    放課後になると、音楽室の鍵を預かってクラブ活動をします。  鍵はそのまま寮に持ち帰り、次の朝朝礼までに勝太郎先生の机にお返しするというのが、毎日の日課でした。    職員室の戸を開けて、「おはようございます」と言いかけると、すぐに「君はピアノで飯が食えるとでも思っているのか」と言う先生の声が容赦なく降ってきます。  そんな天空からの声を何とかかいくぐりながら、飽きもしないで毎日毎日同じことの繰り返しを続けていたのです。    今まで生きてきた中で岡盲の高等部3年間と府盲調律科時代の3年間が、唯一人前もはばからず涙を流して泣いた時期でもありました。  親達との離別、失恋、友人や周りの人達とのトラブル、家族内での悩み苦しみ。  こんなことで泣くことのなかった私が、授業中に受けた先生からの叱責に対してクラスの仲間達の前で・・・・・  将来への色んな不安や裏切られた期待など、不満を吐き出す私の話を静かに聞いてくださった、少し年上の寮母の先生の前で、声をあげて泣いてしまいました。  そんなこともあって府盲卒業間近な折、岡盲からの呼び出し就職口の斡旋、岡山でのピアノ修理工場への就職となりました。  就職して間もない時期に調律の仕事を依頼してくださったのは柳島先生でした。  先生は仕事の最初から最後まで一度も離れることなく、その様子を感じていらっしゃいました。    その後鶴海荘の荘長になられた時、私達家族を来賓待遇で何度か招いてくださいました。  大島健甫先生 〜昭和25年岡盲に赴任して来られた先生が大島先生でした。  先生との出会いは26年になってからだと思います。  今もかなりハチャメチャな性格は前とさほど変りはないのです。  しかしどういうことか、最初のことは思い出されないのですが、小学部の高学年のお兄さん達が、化学の実験でモーターを組み立てて、それで遊んでおられたのを見て、先生におねだりしたようなのでした。  放課後先生がいきなり訪ねて来られて完成したモーターと単一の乾電池をくださったのでした。  その年は火災の後で、昼間は6年生の教室も、放課後には私達の生活の場所になっていたのです。  大島先生は放課後にはよく宿直室で休んでいらっしゃいました。  義手を外しその脇に置いて仰向けになっておられました。  今から思えば大変失礼なことですが、私は先生の右手がとても愛おしいくらい大好きでした。  その前腕は、肘から10センチ余りしかありません。  まるで赤ん坊の足のようにきれいで温かいのです。  私が手を触るといつも「あっはっは」と優しく笑っておられました。  昭和33年は岡盲50周年の年でした。  この頃になると校内の自治の仕組みも整ってきました。  学校の生徒会も各学部で独立して活動し始め、寄宿舎も門田屋敷の建物が完成し、岡星寮も独立して機能し始めました。    私は中学部3年生になり、大島先生は中学部の主任になられました。  そして最初に行われたのが、中学部の自治会選挙でした。  先生から最初に託されたのが選挙管理委員でした。  私は少し違和感を感じて、先生にお尋ねしました。  「先生、選管には被選挙権はないですよね?」  「ない」  実はこの年は、創立記念の行事の準備で大変忙しくなりそうだったのです。  そして選挙は行われ、まさに開票を始めようとした矢先のことです。  「ちょっと待った。今の選挙はやり直し。影山にも被選挙権はある。だからやり直し。」  結局私が初代中学部の会長になったのでした。    卒業し就職し、失業して、結婚の相談と、ことあるごとに相談にのっていただいた先生でしたが、最後のお付き合いとなったのは、先生が小学4年生向けの国語の教科書に載せられた教材で、(手と心で読む)の授業で、小学校に招かれて視覚障害者のことを伝えることでした。  「そうか君にも御足労をかけているのか」  そんな時にはいつも子供たちにこう言っています。  「大島先生はねえ、おじさんの英語の先生だったんだよ。小学生で先生が結婚されていなかった頃は、一緒にお風呂に入っていたんだよ」  まだまだ書きたいことは山ほどありますが、また、少し本筋にかえりましょう。  昭和28年は創立45周年でした。  学校のかたちもそろそろ整って、それはにぎやかな記念日でした。  あの頃は朝早くからスクールバスの出る下校時刻いっぱいに、歌やら演劇がひっきりなしに続き、外では沢山の模擬店も出ていたのです。  昭和30年は岡星寮の5周年記念として、食堂を使って丸一日お祝いの出し物が披露されました。  ラジオ店から本格的な音響設備も借りてきて、とても華やかな式典となったのでした。 《 声 》 イスラームの世界 続編 2            センター利用者 小林 政利  次はスンニー派とシーア派の違いですが、前者は制度や形式を重んじる現実主義的な人々、後者は内面的神秘的体験を重んじる人々とされています。  ムハンマドの後継者についても見解の違いがあるようです。  ムハンマドの後継者をカリフといいますが、初代アブーバクルから、ウマル・ウスマーン・アリーと続く流れを正当と考えているのがスンニー派です。  シーア派は最初からアリーが正当カリフになるべきだったと考えており、間の3人はそれを不当に横取りした人物であるとしています。  しかし両者とも、アッラーやムハンマドへの信仰態度に違いはありません。  信仰に違いがないのなら深刻な対立は起きないはずですが、現実には殺し合いまで起きています。  ここもよく判らないところです。  ムハンマドはイスラムの同朋は互いに助け合わなければいけない、けして争ってはいけないと教えています。  争ったり殺し合ったりしている過激な人々は信仰の原点を忘れているのではないでしょうか。    なお、イスラム教全体ではスンニー派が90%を占めています。  ただし、その割合は国によって違いがあり、イラクのようにシーア派が90%を占める国もあります。  ここからは世界の終末と最後の審判の思想について踏み込んだ考察をしてみたいと思います。  この世界は時間的に有限であるといいます。  神の手で創造され保たれてきた天地自然は、一大カタストロフィーによって崩壊し、その後死に絶えた人々も、墓に眠っていた人々も残らず呼び起こされ、1人ずつ神の前に立たされます。  いよいよ最後の審判が始まります。  神の前には秤が置かれていて、人はその上に乗らなければなりません。  敬虔な信者は善行の重みで秤が下がります。  不敬虔な者、つまり神に背いた者は軽いので秤は下がりません。  ムハンマドは商人の家の出身ですから、最後の審判にも秤が登場します。  神は計算の速いお方であるとも言っています。  秤のめもりだけで判断できないときは、すばやい計算で天国と地獄に振り分けるということでしょうか。  これも商人らしい発想です。  世界の終末と最後の審判は一神教に共通のシナリオですが、その意味するところは少しずつ違います。  ユダヤ教は世界が終末を迎えたのち、あらためて神の国が建てられると説きます。  神の国といっても現実世界の延長であって、イスラエル民族が主権を握り、他民族を従わせることを前提としています。  これがユダヤ教における最後の審判です。  周辺の民族にたびたび虐げられてきた怨念の裏返しと言っていいでしょう。  現実世界の延長ですから、そこはいわゆる天国ではありません。  天国は文字通り天の高みにあると信じられていたようです。  キリスト教では天国と神の国は同義語です。  世界が終末を迎え、最後の審判が下った後は天国と地獄が出現すると説きます。  ただ、福音書を注意深く読むと、イエスキリストの言葉の端々に謎めいた響きを感じます。  天国はあなたたちの只中にあると言ったり、世界が終末を迎える前にノアの時代と同じことが起こると言ったり、自分は再び地上に降りてくると言ったり(イエスの再臨)、不思議な言葉を沢山遺しています。    天国はあなたたちの只中にあるとはどういうことでしょう。  「只中に」は「間に」と訳されることもありますが、どちらにしても天国は遠くにあるものでも、世界の終末の後に訪れるものでもないと言っているように聞こえます。  また、ノアの時代と同じことが起こる、つまり大洪水が起こるというのは、逆に、そんなことはありえないと言っているように聞こえます。  なぜなら、創世記の中で2度と洪水で滅ぼすことはないと約束されているからです。  そのことを承知の上で、ノアの時代と同じことが起こると言っているのです。    さらに、再び地上に降りるという予言にも含みがあります。  地上に降りる日を誰も見ることはできないというのです。  誰も見ることはできないと言っておきながら、天の雲に乗ってくるとか、稲妻が東から西へひらめき渡るように来るとか、奇想天外なことも言っています。  これらの不可解な言葉をつなぎ合わせると、世界の終末も最後の審判もイエスの再臨も現実論ではないように思えてきます。  この話を始めると長くなってしまいますので、これくらいにしておきます。  タイトルはイスラームの世界ですから、これ以上キリスト教に深入りするわけにはいきません。  さて、イスラム教は確実に世界の終わりが来る、その後は天国と地獄しかないと説きます。  神は慈悲深く慈愛厚きお方であるが、不信仰な者には容赦しないと強調しています。  慈しみと愛にあふれた神が、教えを守らなかったというだけで永遠の火に投げ込むというのです。  ここも日本人には理解しにくいところです。  すべての人類を天国と地獄に振り分けるシナリオには厄介な問題が残ります。  イスラム教徒に限定すれば、敬虔な者と不敬虔な者に分けることはさほど難しくないでしょう。  枠を一神教全体に広げても同じ基準で分けることができそうです。  しかし、一神教が流布していない地域の人々や、一神教が流布していなかった時代の人々にこの基準を適用することはできません。  世俗的な基準で善人と悪人を分けなければなりません。  その場合、天国に入る人と地獄に落ちる人を1本の線でグループ分けするのは大変難しいと思います。  人生を100点満点で評価すると、50点前後の人が大半を占めるのではないでしょうか。  特別に善いこともしないが悪いこともしない平凡な人々です。  これら圧倒的多数派の人々を天国と地獄に振り分けることができるでしょうか。  仮に49点の人が地獄に落とされ、50点の人が天国に迎えられるとしたら、49点と50点の間に線をひく理由の説明が必要です。  そこまで厳密に考えると、やはり現実論とは思えなくなります。 《 岡山県視覚障害者協会から第69回全国盲人福祉大会(青森大会)のご案内 》  平成28年度の第69回全国盲人福祉大会は5月20日(金曜日)〜22日(日曜日)の三日間、青森県で開催されます。  本会では、5月21日〜23日(土・日・月)の二泊三日でツアーを組んで計画することとなりました。  新幹線と飛行機、貸し切りバスを利用して、一日目は青森空港へ到着。  昼食後、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸を見学。  夕食は津軽三味線を聞きながらお食事をしていただき、市内で宿泊。  翌日、午前中は全国大会へ参加。  昼食は、津軽の郷土料理をいただき、八甲田山ロープウェイや奥入瀬渓流の観光して、十和田湖畔温泉へ宿泊。  三日目は、十和田湖遊覧、十和田市内で昼食を済ませ、三沢空港から飛行機と新幹線を利用して帰ります。  岡山着18時15分です。  経費は、一人12万円です。   日程  5/21(土)    8:00 岡山駅集合     8:16 のぞみ4号    9:01 新大阪着     9:35 リムジンバス  10:00 伊丹空港着  10:40 JAL2153便 12:10 青森空港着  12:40 貸切バス 13:00〜15:30 レストラン・三内丸山(さんないまるやま)遺跡(昼食、施設のガイドさん付き見学) 15:50〜16:40 青函(せいかん)連絡船メモリアルシップ八甲田丸(青函連絡船八甲田(はっこうだ)丸の船体を利用した記念館見学) 16:50〜17:45 ねぶたの家ワ・ラッセ(施設のガイドさん付きで見学) 18:00〜19:30 夕食(津軽三味線を聞きながらお食事) 19:40 ホテルサンルート青森泊 5/22(日)    8:30 ホテル出発     9:00〜13:00 第69回全国盲人福祉大会青森大会(リンクステーションホール青森) 13:10〜14:00 青森市内昼食(津軽の郷土料理「けの汁」) 15:00〜16:00 八甲田山麓(はっこうださんろく)駅――八甲田(はっこうだ)ロープウェイ――山頂公園駅――八甲田ロープウェイ―八甲田山麓駅 16:40〜17:20 奥入瀬(おいらせ)渓流(石ヶ戸(いしげど)、銚子大滝(ちょうしおおたき)) 17:40 十和田湖畔温泉ホテル十和田荘泊 19:00〜 和食宴会 5/23(月)  8:50 ホテル出発   9:00〜9:15 十和田湖休屋(とわだこやすみや)  9:15〜10:05 十和田湖遊覧船 10:05 十和田湖子の口(ねのくち) 11:10〜12:10 十和田市内昼食 12:50 三沢空港 13:55 JAL2164便 15:45 伊丹空港  16:20 リムジンバス 16:45 新大阪駅  17:25 のぞみ115号  18:15 岡山駅着  お問い合わせ、お申し込みは、岡山県視覚障害者協会事務局 電話: 086ー271ー0933 メール: ossk-33@po1.oninet.ne.jp  観光名所のご案内 三内丸山遺跡 縄文時代前期から中期にかけての集落跡。 公開されているだけで約5万平方メートルあり、建物跡や住居跡、盛土、直径2メートルの柱穴が6個並ぶ大型掘立柱(ほったてばしら)建物跡を見ることができます。 また、土偶や土器、翡翠(ひすい)などの装身具も展示。 青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸記念館 津軽海峡文化コーナー、展望プロムナード、展望広場等あり。 青函連絡船80年の歴史や船の構造など楽しみながら学ぶことができます。 当時のままの本物のエンジンルームやブリッジなども見学できます。 ねぶたの家 ワ・ラッセ 2011年1月、JR青森駅の海手にオープン。 毎年ダイナミックに繰り広げられる青森ねぶた祭りを体感できる観光施設。 青森市の発展を見届けてきたねぶた祭の歴史や魅力を余すことなく紹介しています。 八甲田ロープウェイ 山麓駅から八甲田連峰田茂:萢(たもやち)岳にある山頂公園駅まで、約650メートルの標高差を10分で移動。 山頂遊歩道では、湿原や沼、高山植物が楽しめる。 奥入瀬渓流 銚子大滝 幅20メートル、高さ7メートルの見事な水量を誇るこの滝は奥入瀬の本流にかかる唯一の奥入瀬渓流最大の滝。 石ケ戸(いしけど) 2本のカツラの木に一枚岩が寄りかかり、岩屋ができている。 女盗賊の隠れ家だったという伝説も。 十和田湖遊覧船 十和田湖は、典型的な二重カルデラ湖で、海抜401メートル、周囲は約46.2キロ、最も深いところで326.8メートルと日本第3位の湖です。 湖上遊覧では、豪快にして繊細な十和田湖の魅力を四季折々の彩で約50分、次々と見せてくれます。 《 新刊案内 》  センターで新しく受け入れた図書をご紹介します。  どうぞご利用ください。  今月は、デイジーが7タイトル、点字が4タイトルです。  なお、返却期限は資料が届いてからお手元に2週間です。  延長を希望される場合は、ご連絡をお願いいたします。 ●録音図書 ◎一般向け図書 〇歴史(1タイトル) 書名 5日間の休みで行けちゃう!美しい街・絶景の街への旅 A−Works 編集 デイジー8時間8分 発行 A−Works 2014年 内容 世界中に点在する、別世界のようなステキな街の中から、5日間の休み&手ごろな旅費があれば行ける場所を紹介し、旅の予算から手配先まで丁寧に解説する。 〇社会科学(4タイトル) 書名 神と黄金 イギリス,アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか 上 ウォルター・ラッセル・ミード  著 寺下 滝郎  訳 デイジー18時間32分 発行 青灯社 2014年 内容 秘密は2つのG、神(God)と黄金(Gold)の特殊な接合にある。つまり、資本主義と結託した特異なキリスト教こそが鍵だ。17世紀以降、1度も負け組に回ったことがない英米の強さの秘密を解き明かす。 書名 神と黄金 イギリス,アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか 下 ウォルター・ラッセル・ミード  著 寺下 滝郎  訳 デイジー20時間4分 発行 青灯社 2014年 内容 アメリカは衰退するのか、しないのか?米国最高の知性が、アングロ−アメリカ人の世界制覇の要因や今後を、その海洋国家システムや変化を重視する動的宗教、価値観に着目して、歴史的視野から明かす。 書名 印鑑の基礎知識 知らないではすまされない 寺沢 正孝 監修 金融実務研究会 著 デイジー5時間28分 発行 きんざい 2014年 内容 電子化時代の今でも社会的・法律的に重要な存在であるハンコ。ベテランの実務家が、日常生活やビジネスの現場で欠かすことのできないハンコに関する知識をQ&A方式でわかりやすく解説する。 書名 もう限界!!親を介護施設にあずけるお金がわかる本 高室 成幸 監修 デイジー8時間23分 発行 自由国民社 2014年 内容 親を施設にあずけるには、お金はどのくらいかかるのか。具体的な入居・入所事例を通して、安心・納得できる施設の探し方・選び方、契約で確認するポイント、重要事項説明書の読みこなし方を解説する。 〇自然科学(1タイトル) 書名 進化とは何か ドーキンス博士の特別講義 リチャード・ドーキンス 著 吉成 真由美 編・訳 デイジー5時間59分 小野田 映子 音訳 発行 早川書房 2014年 内容 「利己的な遺伝子」で知られるドーキンス博士が、イギリスのティーンズを対象に行なった名講義のほまれ高いクリスマス・レクチャーを書籍化。レクチャーの全貌を伝える多数の写真、編訳者による著者インタビューも収録。 〇芸術・美術(1タイトル) 書名 近代茶人の肖像 淡交新書 依田 徹 著 デイジー5時間6分 福島 五重 音訳 発行 淡交社 2015年 内容 激変する世相の中、日本人は茶の湯に向かった。皇族・華族・実業家・学者・料理人…。20人の茶の湯と人生を豊富な逸話とともに取り上げ、それぞれの茶の湯の楽しみ方を紹介する茶人伝。 ●点字図書 ◎一般向け図書 〇社会科学(3タイトル) 書名 概説障害者差別解消法 障害者差別解消法解説編集委員会 編著 点字3巻 発行 法律文化社 2014年 内容 2013年に成立した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の制定経緯や概要を解説するとともに、法案に関わった関係者の思いを伝える。 書名 障害者の読書と電子書籍 見えない、見えにくい人の「読む権利」を求めて 日本盲人社会福祉施設協議会情報サービス部会 編 点字3巻 発行 小学館 2015年 内容 これからの電子書籍がどうあれば、障害者によりよい読書環境を提供できるのか。機器環境の問題から、出版社と著者との関係、法整備の問題まで提言する。 書名 赤と青のガウン オックスフォード留学記 彬子女王 著 点字4巻 右近 安美 点訳 発行 PHP研究所 2015年 内容 女性皇族として初めて海外で博士号を取得した女王殿下の涙と笑いのオックスフォード留学報告。彬子女王という人間の人生の記録として、楽しかったことも辛かったこともすべて正直に書き綴る。 〇技術・工学(1タイトル) 書名 オリーブオイルのおいしい生活 ウンブリア田舎便り 文春文庫PLUS 朝田 今日子 著 点字2巻 井上 美子 点訳 発行 文芸春秋 2005年 内容 イタリア・ウンブリア地方に住む日本人主婦が綴る、シンプルでおいしい暮らし。質の高いオリーブオイルをたっぷり使って作る本場の家庭料理レシピと美しい写真が満載。