視覚障害者センターだより 〜ロバと五つのにんじん〜 平成27年8月(通巻299号) 発行 岡山県視覚障害者センター 郵便番号 700−0927 岡山市北区西古松268−1 電話 086−244−1121 FAX 086−244−1043 Eメール ossfc@nifty.com 声の欄は随時募集しています。 内容とその形式は問いませんが、ワープロやエディタのデータ、あるいはメールが可能な方は、これらでいただければ大変助かります。 皆さまからの原稿をお待ちしています。 読み始めたら途中でやめられなかった面白い本、おいしかった飲食店、便利グッズ、趣味など何でもけっこうですので、ぜひ声の欄に原稿をお寄せください。 センター便りは、9月号からほぼ同文のものをセンターの点訳・音訳奉仕員に配布します。 「声」欄の内容を奉仕員にもお届けすることになりますので、ご了承ください。 今月の内容  お知らせ(7件) 金融機関に視覚障がい者の立場で望むことがありますか、岡山大学公開講座「岡山大学先端研究講座」のご案内 ふきの会交流会のご案内 第2回みちしるべ講座のご案内 目の不自由な方と家族の集い“どうしてますか交流会”の案内 声 永井 清命さんから「わが人生の分かれ道」その6 声 小林 政利さんから「イスラームの世界その4」 新刊案内をお伝えします。 センター便り7月号で守屋さんから提供された音声コンパスは複数の希望者があり、抽選の結果倉敷市のNさんに決定しました。 《 お知らせ 》 1.2015年9月の休館日と図書整理日   休館日は毎週火曜日と21日(月)敬老の日、23日(水)秋分の日と24日(木)22日の振替休日です。   図書整理日は24日が休日になったため、ありません。 2.初心者対象音声パソコン講座のご案内   今年度も当センターの登録者を対象にした音声パソコン初心者講座を実施します。   今年からは、受講される方の時間に合わせる形式のみとします。   原則4日間、1日3時間、延べ12時間の講座になります。   センターの開館時間が9時〜17時のため、最も遅い場合でも、17時には終了します。   以前受講された方も、もう少しスキルアップを目指す方でも、その内容によっては対応が可能かもしれません。   講座を受けてみようと思われる方は、希望する4日間をお知らせください。     講師の都合のため、日時を変更していただくこともあります。 3.白杖(直杖)を作っていただけます。   白杖の長さを利用者の身長に合わせて作っていただけます。   身長マイナス40〜45センチメートルが標準のようですが、ご希望の長さのものを作っていただけます。   ただし最も長いものでも131センチメートルです。   これ以下であればその長さは自由がききます。   この杖は、ゴルフクラブの不要になったものを再利用して作成するものです。   カーボンシャフトなので非常に軽く、また丈夫です。   いしづき部分は、金属かゴム対応となっていますが、作成を希望される方が、別途希望されるいしづきを用意されれば、可能な限りそれで対応したいと作者の方が言ってくださっています。   上記の身長に合わせる杖をご希望の方はセンターまでお知らせください。   身長に合わせる杖の作成には約2週間お時間をいただきます。   杖は無料で差し上げますが、センターまで受け取りに来てくださればと思います。   来館が難しい方には郵送しますが、送料の実費が必要となります。   なおセンターの購買ではいしづきは販売しておりません。 4.今年は岡山県視覚障害者センターが発足し、30年の記念の年になりました。 記念行事として、展示会・体験会を10月15日(木)10時からセンター3階で行ないます。   現在決まっているのは、ドコモハーティ講座の「らくらくスマートホン体験会」、「メガネの田中」による、よむべえスマイル、拡大読書器、プレクストークの体験会と、昼休憩時の12時30分〜13時30分のプロのギターリスト荒木博司さんによる演奏会です。   また、iPhone、三菱電機のおしゃべり炊飯器の操作に関しては現在交渉中です。 5.点字JBニュースを読んでみませんか。     点字JBニュースは、週5日(月曜〜金曜)発行されている点字では10ページの情報誌です。   大きく分けて2種の記事からなっています。   1つは日本盲人会連合が作成した視覚障害者に関する様々な記事で、もう1つは日本経済社からの一般的な記事です。   メール版と点字版の2種で提供しています。   点字JBニュースを新しく読んでみようと思われる方は、センターまでご連絡ください。   費用は無料です。   なおメール版のうち、携帯メールへは視覚障害関連の記事のみになります。   また、電話ナビゲーションサービスが22年の12月からスタートしています。   電話番号が0570−021802(料金10円/分)へ13時以後に電話し、聞こえてくる指示に従って操作すれば当日の記事を聞くことができます。 6.新聞連載小説のデイジーコンテンツをサピエ図書館に登録します。     すでにお知らせしております『料理通異聞』『狐道』『草花たちの静かな誓い』に加えて、宮部みゆき著『迷いの旅籠』(日本経済新聞連載)を登録します。   いずれも新聞連載30回を1回分としてデータを登録します。   1ヶ月に1回の割合での登録になりますので、ダウンロードやストリーミングでご利用ください。 7.点字資料を差し上げます   次の点字資料(1種類)を差し上げますので、ご希望の方はセンターまでご連絡ください。 (1)「確認じゃ!給付金 平成27年度臨時福祉給付金」点字1枚。案内リーフレット。    墨字併記。   点字・録音資料を貸し出します   次の点字・録音資料(1種類)を貸し出しますので、ご希望の方はセンターまでご連絡ください。 (1)「第4期 岡山県障害福祉計画 概要版」デイジー47分、点字1巻。 ◇「金融機関に視覚障がい者の立場で望むことがありますか」  岡山県視覚障害者センターに登録されておられる皆様へ。  センター所長の川田です。  11月18日午後、とまと銀行本店で、高齢者・視覚障がい者の方に配慮した接客のために「読み書き(代読・代筆)情報支援について考える研修会」が開催されます。  この研修会では、高齢者や視覚障がい者の「読み書き」に対する現状と「読書権保障」について理解いただき、高齢者や視覚障がい者からはどのようなサービスが望まれているか、視覚障がいの方に配慮したサービスをどう導入していくべきかを考えていくとのことです。  当日視覚障がい者の立場で話すチャンスを設けていただけました。  せっかくのチャンスです。皆さん日頃銀行・信用金庫、郵便局、その他の金融機関をご利用され、困ったこと、改善して欲しいこと、その他要望があればお知らせください。  皆さんからの声をお伝えします。  ふるって皆さん体験談や要望を電話やメールなどでお寄せください。 電話 086ー244ー1121 E-mail: ossfc@nifty.com  金融庁は、平成22年8月、金融機関に対して、視覚障がい者対応ATMの設置、視覚障がい者への代筆・代読の規定化、点字明細などの発行など、視覚障がい者に配慮したサービスの積極的な推進を要請。   それを受け、各金融機関では取り組みが進められていますが、高齢者や視覚障がい者の方からは、以下のような声がよく寄せられています。 ・案内の人は目立つ服装を。 ・用紙が小さく、文字が小さく色が薄い。わかりやすい大活字の用紙も併用してほしい。 ・明るく、落ち着いて記入できる場所を設けてほしい。 ・代読と代筆の際は、必ず確認の再読をしてほしい。 ◇岡山大学公開講座「岡山大学先端研究講座」のご案内 工学部と医学部の共同研究「医工連携」による人工網膜の開発と臨床試験     日時 2015年8月22日(土)   @13:30〜15:00 内田哲也(工学部)   A15:15〜16:45 松尾俊彦(医学部)  場所 岡山大学 津島キャンパス 文化科学系総合研究棟 2階 共同研究室    高校生以上ならどなたでも受講可能で、無料です。  講演内容   眼球の中の網膜には光を電気信号に換える「視細胞」があり、神経回路を通って脳に伝わり、視覚が生まれます。 この視細胞が死んでしまう疾患には治療方法がありません。 視細胞の代わりをする人工網膜を工学部と医学部で協力して開発しています。   人工網膜はどのような仕組なのか、臨床試験はどのように行うのかを工学部と医学部の教員が紹介します。  お申し込みは、JRPS岡山県支部 奥村さんまでお願いします。 電話086−221−2661 メール:okayama@jrps.org ◇ふきの会 交流会のご案内  「ギター演奏で豊かなひとときを」  今年も、下記のとおり10月15日(木)センターで行います。  今回はギタリストの荒木博司さんをお迎えします。  荒木さんは、喜多郎・森山良子など数多くのアーティストのサポートやレコーディングをされた方で、現在は岡山を中心にジャズギタリストとしてご活躍です。  荒木さんの並外れたテクニックをお楽しみ下さい。  一緒に歌うコーナーもあります。  ぜひ、ご参加下さい。   @日時    平成27年10月15日(木)  12:30〜13:30   A場所    岡山県視覚障害者センター3F   B会費    なし   C申し込み  岡山県視覚障害者センターまで 氏名、電話番号、付き添いのある方は付き添いの方の氏名と電話番号をお知らせ下さい。   D締め切り  9月30日(水)  今回の交流会は、センター創立三十周年記念とタイアップしています。  10:00からは「おしゃべり炊飯器」の実演で、ご飯を炊きおにぎりを作りますので、ご自由に料理室に来て召し上がって下さい。  昨年の交流会は台風のため中止になり残念でした。  今年こそ、ご一緒に楽しみましょう。 ◇第2回みちしるべ講座のご案内  地域生活支援事業所みちしるべでは、岡山大学病院眼科医の守本典子先生を講師にお招きして、下記のとおり講演会を開催いたします。  今回は視覚リハビリテーションの必要性についてお話しいただきます。 日時 平成27年8月29日(土)10時〜12時 場所 岡山県視覚障害者センター 第3会議室 岡山市北区西古松268−1 対象 岡山県在住の視覚障害の方(手帳の有無は問いません)・ご家族・支援者 定員 20名(定員になり次第締め切ります) 参加費 無料 申込・お問い合わせは地域生活支援事業所 みちしるべ(TEL 086−250−9912)担当 岡・岸本  ※移動に不安がある方は9時45分までにJR大元駅にお越しください。   会場までご案内します。(要連絡) ◇目の不自由な方と家族の集い“どうしてますか交流会”  目が不自由になってこんな事が困った、何かいい方法ないかな。  いろんな悩みや思いを聞いたり話したりしてみませんか。そんな思いで、集いの場“どうしてますか交流会”をほぼ毎月、開催しています。  目の不自由な方、ご家族の方々、お気軽にご参加ください。 1.期日 8月23日(日)午前10時〜12時 9月27日(日)午前10時〜12時 11月15日(日)音楽忘年会(別途案内) 2.会場 ひまわり福祉会館  2階 岡山市大供2−4−25 電話 086−222−8619 3.対象 目の不自由な方と家族の方々     4.参加費 200円 5.申込み 不要  6.問合わせ先 086−229−2225(国末)まで  主催 岡山県視覚障害者を考える会 ◇研修会のご案内     10月18日(日曜日)14時30分から16時  講演会 “見えない世界を伝えたい”  講師 松永信也氏 (公社 京都府視覚障害者協会副会長)    網膜色素変性症のために人生の半ばで失明し、訓練施設での訓練を受け、視覚障害者として生きる自由を手にされるや、視覚障害者が生きやすい世界を目指して、あらゆる世代の一般の方々への啓発活動を精力的に続けておられる松永さんから、「見えない世界」のお話をうかがいます。  見える人たちにできること、見えなくなっても楽しく生きられることを学ぶよい機会です。  まだまだできることがたくさんある!がお土産です。 日時 平成27年10月18日(日曜日) 14時30分から16時 会場 岡山国際交流センター 地下1F レセプションホール 参加費 無料  申し込み 不要 問い合わせ先 岡山県視覚障害を考える会 事務局(奥村〉 Tel  086−221−2661 E−mail  okashikaku@yahoo.co.jp  ※会場後方にてメガネのタナカによる機器展示があります。  共催 岡山県視覚障害を考える会・(公社〉日本眼科医会 後援 岡山県眼科医会 《 声 》 「わが人生の分かれ道」その6          センター利用者  永井 清命 第3章 結果良ければ全てよし 1.再手術  翌12月17日、私は晴れて自由の身となったが、包帯はとれているものの、眼帯とその下にガーゼが当てられているため、灯りもほとんど見えず、朝食を済ませてからベットに座っていたところ、掃除のおばちゃんがやって来て、また昨日と同じ様に丁寧に掃除をし始めた。  (可笑しいなぁ)とは思いながらも直接掃除のおばちゃんにはその事を聞かなかった。  昼食後は、数時間ほど点字本をまさぐっていたのだが、午後3時過ぎになって、昨日に引き続いてO教授を先頭に数名の医師と数名のナースが病室へ入ってこられた。  この日は妹だけが病室にいたのだが、それに気づくと、すぐに病室を出ていった。  病室に入ってこられたO教授とスタッフの様子がいつもとは違うのであった。  いつもなら「永井さん」と、呼ばれる声が頭の上から聞こえてくるように思えたのに、今日に限り随分下の方から聞こえてくるような感じさえした。  O教授が「永井さんにお願いが有ります。  この病院の為と言うよりも、今後の眼科医療のためにももう一度手術をさせて下さい。  今までに係った費用も、これから係る経費も一切病院側で見させてもらいますから、ぜひ手術をさせて下さい。お願いします。」との事であったが、無論私には、申し出を断る理由など何一つなかったので、「私が眼科医療の少しでも役に立つのであれば、喜んで手術を受けさせてもらいます。」と、答えたところ、「手術は1日でも早い方が良いので、できれば明日18日の午後3時から、という事で、お願いできないでしょうか?」と、懇切丁寧に話され、それに続けて婦長のSさんが「今度は局部麻酔をしますから、安心して手術に臨んで下さい。」と、付け加えられた。  再手術は、翌18日の午後3時から行われ、あっという間の1時間少々であった。 2.クリスマスパーティー  2回目の手術から6日目にあたる、12月24日には眼帯もとれ、自分の目で見ながら眼科病棟の中を自由に歩き回る事ができる様になっていた。  視力は元々、生まれながらにして、右眼のみの0.03と、いう僅かな視力ではあったが、この度の2度に渡る手術によって、同程度まで快復している様に思えた。  12月24日の夜には、眼科病棟スタッフ主催のクリスマスパーティーが開かれた。  何しろ病院が開院して初めてという事で、軽症の入院患者は全員参加という事で、病院関係者を含めてざっと30名程度のパーティーであった。  その日の夕食はいつもより豪華で、ケーキとシャンパン、それに紅茶はおかわり自由であった。  パーティーは、午後6時から開始され冒頭あいさつされたO教授が「医学的には望みがないと思われる様な病気であっても、決してあきらめてはならないと、いう事を教えられました。」と、述べられた後で、「今困難な病気と闘っておられる皆さんも、望みを持ち続けてほしい。」と、締めくくられた。 3.天にも昇る思い   その後、毎日の様に眼科病棟のみならず、DO病院全体の建物の間や、中庭をあちらこちらと散歩代わりに歩き回っていたのだが、それだけでは物足りず、12月も残り少なくなった冬晴れの夕暮れ時、許可を得た上で妹を伴って病院の外へ出て見た。  行き交う車のヘットライトが(光の宝石を散りばめた様にも、又数えきれない無数の星が流れている様にも見え、ふと遠くを見ると、民家の家々の電灯の灯りと、所々に信号機や広告塔の赤や黄色・緑色などの灯りを見つめていると、懐かしくも嬉しくもあり、まるで総天然色のスクリーンを見ている様な夢心地で、まさしく天にも昇る様な思いだった。) 4.外泊  12月31日〜1月4日までの4泊5日の外泊許可が出たので、妹と共に郷里の総社市中尾に帰ったのであったが、列車や車の窓の外に流れる景色を見ていると、まるで子供の時(初めてSLに乗った時と同じ様な思いで眺めていた。)  いざ実家に帰って見ると、身内の者は元より、見舞いに来てくれた親戚やら、近所の人たちまでが集まっており、まるで盆と正月が一度に来た様な賑やかさであったが、(私は、まだ入院中でもある)という事もあって、好きなビールも乾杯の一杯だけで我慢したが、それにしても、父をはじめとする人たちの喜びが、そのままあふれ出ている事を感じ、思わず熱いものが流れ出るのを抑える事ができなかった。   正月は、あそこにも出かけてみたい、ここにも行ってみたいと思ったが、結局は近くの神社へ初詣に行っただけで、家族との団欒を優先した。  次号に続く。 《 声 》  イスラームの世界 その4         センター利用者  小林 政利 三位一体論と創世記 1  イスラームの世界をレポートした際、ムハンマドの言葉を借りて「神に子などいるはずがない」と書きました。  このままでは後味が悪いので、今回はキリスト教の立場から神の子についてレポートしたいと思います。  一神教の世界では、神と人の間には大きな隔たりがあります。  生身の人間が神、などということはありえません。  しかしキリスト教では、イエスキリストを神に位置づけています。  ありえない一線を越えてしまったところにキリスト教の独自性があります。  ただ、そこには厄介な問題がありました。  イエスを神に位置づけると、神が二人いることになり、一神教の原則が崩れてしまいます。  ここから、長い長い神学の論争が始まりました。  ある者は、人間イエスが神的エネルギー・ロゴスに満たされ浄化されたと主張し、ある者はイエスは肉においては人であるが、霊においては神であると主張し、またある者は、父なる神が同時に子なる神・イエスであると主張しました。  聖書の中では聖霊も活躍します。  これを神に位置づけるか否かも争点になりました。  イエスキリストも聖霊も被造物(神によって作られたもの)とみなせば、一神教の原則を守ることができます。  しかし、もはや被造物とみなすことはできない流れが出来上がっていました。  途中経過は省きますが、この論争はイエスの死から500年以上過ぎてようやく決着しました。  父と子と聖霊は、三つの人格にして、その実体は一つであるとする三位一体論にたどり着いたのです。   三つの人格は一つの実態から派生し、同時に三つの空間に存在することができる。  これが三位一体論です。  実体は一つですから、二神教にも三神教にもなりません。  このように、三位一体論は一神教の原則を守りながら、長い時間を掛けて編み出されました。  ところが、この教理にはまた別の悩ましい問題が残りました。  人類の中で、なぜイエスだけが 神なのかという物理的な疑問に対する答えがないのです。  イエスは、ほかの人と同じく母の胎内から生まれ、ほかの人と同じく少年期を過ごし、青年になりました。  物理的には明らかに生身の人間です。  それを神に位置づけるためには、すべての人類を神に位置づけなければなりません。  道理から言えばそうなのですが、道理が信仰の世界に通用するとは限りません。  イエスキリストとほかの人類は決定的に違うとする信仰は、圧倒的多数派の支持を得てきました。  近代に入って、ようやくキリスト教神学に新しい動きが見え始めました。  イエスキリストを頂点として、すべての人類に神性(神の性質)を認める三位一体論が唱えられるようになったのです(ルイス ベルコフ著「キリスト教教理史」)。  これは画期的な発想の転換です。以下、ペルコフ氏の著述をそのまま引用します。    「本質的にすべての人間は神性を持つ。なぜなら、神はすべての人間に内在し、彼らはみな神の子だからである。  キリストと異なるのは程度の差だけである。  キリストは神的なものに対する、より大きな受容性と、より優れた彼の神意識という点においてだけ、他の人々と異なっている。」  この新しい三位一体論は、まだ広く認められているわけではありませんが、やがて大きな潮流となって一神教の世界を変えていくことになるでしょう。  なぜなら、それが時代の要請だからです。ベルコフ氏は改革派の神学者で、教理の時代的変遷を紹介しながら、改革派の思想に反するものには否定的なコメントを付け加えています。  しかし、この新しい三位一体論には何のコメントもありません。  次号に続く。 《 新刊案内 》  センターで新しく受け入れた図書をご紹介します。どうぞご利用ください。  今月は、デイジーが20タイトル、点字が7タイトルです。  なお、返却期限は資料が届いてからお手元に2週間です。  延長を希望される場合は、ご連絡をお願いいたします。 ●録音図書 ◎一般向け図書 〇社会科学(3タイトル) 書名 イスラム国の野望 幻冬舎新書 高橋 和夫 著 デイジー4時間19分 加藤 智子 音訳 発行 幻冬舎 2015年 内容 イスラム過激派の組織「イスラム国」。中東問題の第一人者が、複雑な中東情勢を徹底的にわかりやすく解きほぐし、その正体に迫る。 書名 聞き出す力 吉田 豪 著 デイジー5時間11分 小野田 映子 音訳 発行 日本文芸社 2014年 内容 アイドルから政治家まで−。プロインタビュアーの著者が、各界の著名人への取材時のエピソードを通じて、対人関係・人間力の磨き方のヒントを語る。 書名 記憶を受け継ぐ デイジー1時間18分 発行 中国新聞社 2014年 内容 人類史上初めて原爆が落とされた広島。「決して繰り返されてはならない」。そんな被爆者の訴えを受け継いでいくことが、若い世代の責務。 自然科学(2タイトル) 書名 雲 気象歳時記 安藤 隆夫 著 デイジー6時間6分 福島 五重 音訳 発行 日本書籍 1980年 書名 ペンギンが教えてくれた物理のはなし 河出ブックス 渡辺 佑基 著 デイジー8時間28分 発行 河出書房新社 2014年 内容 ペンギン、アザラシ、アホウドリなど、観察が難しい野生動物の体に記録機器を取り付ける研究手法「バイオロギング」。その最新成果を紹介し、背景にある物理法則から進化的な意義を明らかにする。 〇文学(1タイトル) 書名 8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心 美甘 章子 著 デイジー6時間52分 発行 講談社エディトリアル 2014年 内容 悪いのはアメリカ人ではなく、戦争だ−。被爆二世の心理学博士が、至近距離で被爆しながらも生存している数少ない生き証人である父親の体験と「許す心」の尊さを綴る。 ◎児童向け図書 〇産業(1タイトル) 書名 うなぎ一億年の謎を追う 科学ノンフィクション 塚本 勝巳 著 デイジー6時間14分 発行 学研教育出版 2014年 内容 うなぎがどこからやってくるか、知っている? 1億年も続いたうなぎの産卵の秘密がいま解き明かされる。さあ、いっしょにマリアナの海へ! 研究航海に出かけよう! 〇芸術・美術(1タイトル) 書名 レジェンド! 葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり 世の中への扉 スポーツ 城島 充 著 デイジー3時間46分 発行 講談社 2014年 内容 下川ジャンプ少年団からは、なぜ多くの名選手が育っていくのか。ソチ五輪で「レジェンド=伝説」となった葛西紀明選手と、北海道下川町の子どもたちのがんばりを描いた感動作。 〇文学(8タイトル) 書名 あしたあさってしあさって おはなしだいすき もりやま みやこ 作 はた こうしろう 絵 デイジー17分 発行 小峰書店 2014年 内容 遠くの町で仕事をしているお父さんが、しあさってに帰ってくる! 早くしあさってになあれ! うれしくてたまらないくまのこは…。心あたたまるお話。 書名 かぐやのかご こころのつばさシリーズ 塩野 米松 作 はまの ゆか 絵 デイジー1時間16分 発行 佼成出版社 2014年 内容 同じクラスの隼人たちから罪をなすりつけられ、泣きながら下校する清香に、竹のたばを抱えたおばあちゃんが話しかけてきた。世代を超えたゆるぎない友情を描く。 書名 ぼくの、ひかり色の絵の具 ノベルズ・エクスプレス 25 西村 すぐり 作 大野 八生 絵 デイジー5時間24分 発行 ポプラ社 2014年 内容 写生の時間、納得のいかない絵を描かされたユク。傷ついたユクは絵を引き裂いてしまうが、花にくわしい少女に励まされ、絵を描くことの意味、喜びを理解していく。 書名 かあさんのしっぽっぽ おはなしいちばん星 村中 李衣 作 藤原 ヒロコ 絵 デイジー1時間31分 発行 BL出版 2014年 内容 怖い怒り顔のかあさん。ふうっと、かあさんの顔がキツネに見えました。もしかしたら、かあさんは、このキツネに食べられてしまったのかも…。 書名 夏の朝 本田 昌子 著 木村 彩子 画 デイジー6時間8分 発行 福音館書店 2014年 内容 取り壊されるのを待つばかりとなった祖父が暮らした家。庭の蓮が花開くとき、時間を越え、少女はいつかの夏へと旅をする。 書名 お話きかせてクリストフ 文研ブックランド ニキ・コーンウェル 作 渋谷 弘子 訳 中山 成子 絵 デイジー1時間33分 発行 文研出版 2014年 内容 ルワンダから内戦をのがれてイギリスへやってきたクリストフ。友だちと遊んでいたときに、銃で撃たれた傷を見られたのをきっかけに、自分と家族がルワンダで経験した戦争について語りはじめ…。 書名 希望の海へ マイケル・モーパーゴ 作 佐藤 見果夢 訳 デイジー8時間49分 発行 評論社 2014年 内容 10歳にも満たない戦災孤児アーサーは、汽船に乗せられ、たったひとりでオーストラリアに送られた。そこで、待ち受けていたのは…。父娘2代にわたる感動の物語。 書名 ぼくとテスの秘密の七日間 文学の森 アンナ・ウォルツ 作 野坂 悦子 訳 きたむら さとし 絵 デイジー5時間18分 発行 フレーベル館 2014年 内容 十歳の男の子サミュエルは、家族と出かけたテッセル島の砂浜で、島に住むひとつ年上の女の子、テスと出会う。その子には秘密の計画があって…。少年サミュエルの心が旅する七日間の物語。 〇絵本(4タイトル) 書名 クレヨンからのおねがい! ドリュー・デイウォルト 文 オリヴァー・ジェファーズ 絵 木坂 涼 訳 デイジー41分 発行 ほるぷ出版 2014年 内容 ケビンがクレヨンの箱を出すと、自分宛の手紙の束が。それは、クレヨンからの手紙で…。ユーモアあふれる視点で、クレヨンたちの気持ちを代弁したユニークな絵本。 書名 ちいさなちいさな めにみえないびせいぶつのせかい ニコラ・デイビス 文 エミリー・サットン 絵 越智 典子 訳 出川 洋介 監修 デイジー45分 発行 ゴブリン書房 2014年 内容 身のまわりにいる、目にみえない、ちいさな、ちいさな生き物−微生物。その存在と、人間の暮らしとの関わり、自然界での大きな役割を、子どもたちにわかりやすく伝えるイギリスの科学絵本。 書名 はこぶ 鎌田 歩 作・絵 デイジー45分 発行 教育画劇 2014年 内容 コンテナトレーラー、ベビーカー、人力車、路面電車、タンクローリー、ブルドーザ、シールドマシン、ジャンボジェット…。「はこぶ」をテーマに、さまざまなのりものをイラストで紹介する。  書名 ぼくはうちゅうじん ちきゅうのふしぎ絵本 中川 ひろたか ぶん はた こうしろう 絵 デイジー34分 発行 アリス館 2014年 内容 キャンプに来て、星やお月さまをみていると、お父さんが「お月さまも星なんだよ」と言い、お母さんが「地球もね」といった。地球も星なの? 宇宙に、星はいくつあるの? 地球から宇宙へ、夢をひろげる子どもたちにおくる本。 ●点字図書 ◎一般向け図書 〇歴史(1タイトル) 書名 楽楽 中部4 金沢・能登・北陸 点字5巻 発行 JTBパブリッシング 2014年 内容 金沢満喫コース、温泉巡り、雲上パノラマ、能登周遊…。見どころを楽楽回るモデルルートを紹介するほか、観光スポットやグルメ、宿泊などエリア別ガイドを掲載。持ち歩きマップ付き。 〇社会科学(4タイトル) 書名 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律 点字1巻 発行 総務省法令データ提供システム 2014年 内容 消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するための裁判手続について定めた法律。平成25年12月11日公布内容全文。 書名 難病の患者に対する医療等に関する法律 再生医療等の安全性の確保等に関する法律 アレルギー疾患対策基本法 点字1巻 発行 総務省法令データ提供システム 2014年 内容 平成26年5月30日公布の「難病の患者に対する医療等に関する法律」、平成25年11月27日公布の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、平成26年6月27日公布の「アレルギー疾患対策基本法」を収録。 書名 里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く 角川oneテーマ21 藻谷 浩介 NHK広島取材班 著 点字4巻 坂本 泰子 点訳 発行 角川書店 2013年 内容 休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティー復活を果たす「里山資本主義」。安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不信のスパイラルを超えるバックアップシステムを提言する。 書名 記憶を受け継ぐ 点字1巻 発行 中国新聞社 2014年 内容 人類史上初めて原爆が落とされた広島。「決して繰り返されてはならない」。そんな被爆者の訴えを受け継いでいくことが、若い世代の責務。 〇言語(1タイトル) 書名 岡山弁JARO(じゃろ)? 青山 融 著 点字4巻 右近 安美 点訳 発行 ビザビリレーションズ 2014年 内容 岡山弁の達人として、映画での方言指導や各講演会、ラジオ番組への出演などを行ってきた著者が、その集大成として発行した書籍。岡山弁の「カレーシリーズ」から「観音シリーズ」も揃い踏み、青山ファンはもちろん、岡山弁に興味をもつすべての人に読んでいただきたい一冊。 〇文学(1タイトル) 書名 文学を〈凝視する〉 阿部 公彦 著 点字5巻 発行 岩波書店 2012年 内容 人は「凝視する」行為のなかで何を見いだすのか? 「目の文化」としての近代を問い直し、新しい知の可能性に迫る文学論。