視覚障害者センターだより 〜ロバと五つのにんじん〜 平成23年12月(通巻255号) 発行:岡山県視覚障害者センター 郵便番号700-0927 岡山市北区西古松268-1 電話:086-244-1121 FAX:086-244-1043 Eメール:ossfc@nifty.com  声の欄は随時募集しています。内容とその形式は問いませんので、皆さまからの原稿をお待ちしています。  今月は先月号に引き続き三宅好美さんからの声その3と柴田昭子さんからの声を掲載いたします。 今月の内容 お知らせ(10件)、「声」、新刊案内をお伝えします。 《お知らせ》   1.2012年1月の休館日と図書整理日  休館日は毎週火曜日と9日(月曜)の成人の日です。  12月28日(水曜)〜1月4日(水曜)は年末年始の休館日になります。  図書整理日は1月26日の木曜日です。この日は終日留守番電話対応とさせていただきます。 2.2012年の愛の小鳩点字カレンダーが追加で入りました。  ご希望の方10名に申し込み順で差し上げます。  ご希望の方はセンターまで申し込んでください。 3.皆さんの中には「らくらくホン」でサピエのデイジー図書を読まれている方がおられると思います。今回サピエ事務局から以下の案内がありました。該当される方は参考にしてください。  12月15日午前10時、サピエモバイル デイジー館のアプリケーションのバージョンを更新いたします。新たなバージョンは、1.1.8です。  すでにダウンロードしてご利用なさっている方は、バージョンアップをお願いいたします。    ダウンロードの手順は次のとおりです。9段階で説明いたします。     1.らくらくホンのメニューボタンを押します。     2.メニュー8の「iアプリを使う」を選択します。     3.メニュー1の「iアプリの一覧を見る」を選択します。     4.一覧中のアプリ「サピエモバイルデイジー」に移動します。     5.そのまま、らくらくホンのメニューボタンを押します。     6.メニュー3の「最新にする」を選択します。     7.決定ボタンを押します。     8.「ソフトを最新にしますか?」と聞いてきますので、数字の1キーを押します。     9.画面上に「ダウンロード中です」との表示があり、数十秒ほどでダウンロードは終了します。  手順は以上です。うまくダウンロードできたかは、メニューの1番目「詳細情報を見る」より確認できます。バージョンが1.1.8になっていれば、大丈夫です(音声では、「1年1月8日」と読み上げる場合があります)。 4.1階のロビーにはPCーTalkerの入ったデスクトップパソコンが1台あります。これはwindows7パソコンで、有線lanでインターネットに接続しています。ソフトとしては高知システム開発のほとんどのものと視覚障害者用に開発されたソフトが入っています。体験可能なのはサピエ図書館の利用、ネットサーフィン、すみ字文書の作成、墨字印刷物の読み上げ、新聞記事の読み上げなどが代表的なものですが、その他多くのことが体験できます。  体験ご希望の方は電話で申し込んでください。 5.点字JBニュースを読んでみませんか。  点字JBニュースは大きく分けて2種の記事からなっています。  1つは視覚障害者に関する様々な記事で、もう1つは日本経済新聞記事から10記事を選んだものです。メール版と点字版の2種で提供しています。メール版は当日にとどきますが、点字版はセンターでの印刷後、郵便で送りますので1日遅れの記事になります。  点字JBニュースを新しく読んでみようと思われる方は、センターまでご連絡ください。費用は無料です。点字版は毎回10ページの片面印刷で22行書かれています。  メール版はパソコンと携帯のメールアドレスをお持ちの方に送っていますが、携帯へは視覚障害者に関する記事のみになります。  また、新しい電話ナビゲーションサービスも昨年の12月からスタートしています。  電話番号が0570-021802 (料金10円/分)へお電話し、聞こえてくる指示に従ってくだされば電話でも聞くことができます。 6.サピエ図書館に新しい利用法が加わりました。  今年の9月までは、サピエ図書館の個人会員は、パソコンか対応の携帯電話でしかサピエのデータが利用できませんでしたが、10月からは新しくプレクストークリンクポケットでの入手が可能となりました。  これはパソコンなしで、パソコンと同じようにデイジー図書の入手ができる機器です。  これがあれば、24時間いつでも好きなデイジー図書が聞け、センターへの図書のリクエストも必要がなくなります。  条件としては、インターネットの環境がなければ、まずはその環境作りから始める必要がありますが、家庭にインターネットの環境があれば、サピエ図書館に登録後、IDとパスワードが公布されるとすぐに利用できます。パソコンが苦手だった方、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。  費用はリンクポケット(日常生活用具の対象品)が8万5千円、インターネット環境が月々4・5千円程度が必要となります。  サピエ図書館の登録、利用は無料ですが、登録するには高速のブロードバンドの環境(例えば光ネクスト、ADSL等)とメールアドレスか電話番号が必須です。  登録は個人で行なうことも可能ですし、センターでの代行登録も可能です。 7.センターだよりのメディアの種類  先日、ソニーがフロッピーディスクの生産の中止、今度はカセットテープの生産を中止したとのことです。近い将来カセットテープの入手が困難となり、センター便りもカセットでの提供ができなくなると思われます。こういうこともあり、センターとしては、カセットテープ版から他のメディアへの変更を望んでいます。  現在センター便りを以下のどれかの方法で利用者の方々にお送りしています。  @点字版 Aカセットテープ版 BデイジーCD版(これにはテキストデータと点字データも入っています) Cメール版(本文と添付ファイルでテキストと点字のデータが入っています)  カセットテープ版をご利用の皆様へ、そろそろ他のメディアへの移行を考えていただければと思います。変更してもよいよという方はセンターまでご連絡をお願いいたします。 8.センター便りは9月号から視覚障害者センターのホームページに載せています。声の欄に原稿を寄せてくださった方の名前も載ります。ご都合が悪い方は、原稿にそのむね書いてくださるか、センターへご連絡ください。よろしくお願いいたします。 9.「おしゃれなひととき」のCDをさしあげます  「おしゃれなひととき 冬号 〜資生堂ビューティーメッセージ〜」(一般CD1巻)を先着順でさしあげますので、ご希望の方はセンターまでご連絡ください。  なお、このCDは継続して貸出でご利用いただくことも可能です。季刊で発行されています。 10.喫煙場所に関してのご連絡  センターでは3階廊下の北端にソファーと灰皿を用意していましたが、先日撤去するよう指示されました。今後は携帯用の灰皿を個人で用意していただき、館外での喫煙にご協力をよろしくお願いいたします。 《 声 1 》   いろんな人といろんな場所、そしてパソコンとの出会い その3         利用者 三宅好美  五つ目は、これが私にとって一番大きな出会いといえるかもしれない、視覚障害者センターとの出会いでした。  私がセンターに登録したのが2007年のことなので、一応利用していたことにはなりますが、センターに行ったことは1度もありませんでした。初めてセンターにおじゃまさせていただいたのは、忘れもしません。5月27日のことです。センターに行った理由は、どうしてもパソコンを使えるようになりたいと思っていたからです。  事前に川田所長にパソコンを教えていただけるように頼んでおいて、後日ヘルパーさんに連れて行っていただきました。入口の自動ドアを入ると、まず職員の神田さんが待ってくださっていました。お電話でお声だけは聞いていましたが、お逢いするのが初めてだったので、お互いに「はじめましてですね」と挨拶をして、「こちらへどうぞ」とロビーにあるパソコンの前へ初めて座らせていただきました。  間もなく川田所長と職員の竹内さんが私につきっきりで、パソコンでどのようなことができるか、それぞれのキーの名前やその役割等を教えてくださいました。そして、まずはサピエ図書館を簡単に使う方法を教えていただくことになったのです。  ですが、キーボードを目の前にした私には高いハードルがありました。それは何かというと、私には全身がガタガタ震えるという不治の病があり、それにプラスして指先の感覚が非常に鈍感であるという病名もつかない病があるということです。そのため、キーボードを正しく叩くことができず、触れているという感覚もあまりなく、指でなぞってキーの数を数えることさえままなりません。そんな私のために川田所長も竹内さんも、様々な工夫を凝らしてくださいましたが、やはり思い通りに叩くことができず途方にくれていました。以前の私ならここでもう止めていたと思います。  ですが、一人暮らしを決めたのは自分だということを思い出し、考え直しました。センターまで連れて行ってくださるヘルパーさんがいて、応援してくださっている先生方がいて、センターを利用することを歓迎してくださる方がいて、そんな環境にある私がここで投げ出してしまったら、せっかく手を差しのべてくださっている皆さんから見放されてしまうだろう。がっかりさせて、迷惑をかけてしまうだろうと思い、絶対どうにかやってみせると心に誓い、訓練師の方に相談しました。訓練師の方々は、私達の指先の動きを見ただけで、パソコンのキーを叩くことが可能か不可能か判断ができるらしく、「三宅さんなら絶対できるよ」という評価をいただきました。  それから訓練師の方におつき合いいただいて、量販店でごく当たり前に売ってある外付けのキーボードを購入しました。そのキーボードがデスクトップのように凹凸の大きなものではなく、フラットでスマートなものです。  なぜそんなキーボードを選んだかというと、訓練師の方いわく「これからの時代フラットなものが増えて、デスクトップ型のものは少なくなるから探す方が難かしくなるよ」とのこと。それに印等をつけた自分専用のキーボードを作ってしまうと、そのキーボードしか叩けないことになってしまいます。訓練師の方が私の将来のことも考えて、「フラットなものに慣れておいた方がメリットが大きいよ。これが使えるようになったら誰のパソコンでも叩けるようになると思うよ。最初からハードルを下げるのではなく、あえてハードルを上げて難しいことにも挑戦し、それができるようになればキーボードそのものを限定しなくてもよくなるから。」というアドバイスをくださいました。私はその言葉を参考に、練習することにしたのです。   この話を聞くと、それはちょっと厳しいんじゃないかなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜか私はその時そう思いませんでした 。  次号に続く。 《 声 2 》  クリスマスは教会で     利用者 柴田 昭子  クリスマスが近づいてきました。イエス キリストの誕生を祝うクリスマスには、教会へ行って見たいと思っていらっしゃる方はいませんか?私の所属している、日本キリスト教団岡山教会では、そうした方々を歓迎します。12月25日(日)の午前10時半から、クリスマス礼拝、前日の24日(土)の午後7時からは、燭火讃美礼拝があります。教会のある場所は、天満屋岡山店のすぐ近く(岡山市北区中山下1−10−18)です。案内がほしい方は、私にご連絡ください。教会近くのバス停までお迎えに行きます。私の電話番号は086−252−7162です。 ■新刊案内  センターで新しく受け入れた図書をご紹介します。どうぞご利用ください。  今月は、デイジーが12タイトル、点字が10タイトルです。 ●録音図書 ◎一般向け図書 ○総記 書名:法華経に聴く 小林隆彰著 デイジー(2時間14分)林原 のり子音訳 発行:法蔵館 2006年 内容:諸経の王と呼ばれる法華経。釈迦最晩年に説かれ、伝教大師が開いた天台宗比叡山延暦寺の中心思想でもある、法華経の真髄を、天台宗大僧正である著者がやさしく、わかりやすく説明する。 ○歴史 書名:まごころの人辰巳浜子 辰巳浜子著  辰巳芳子編 デイジー(5時間52分) 近成 恵美子音訳 発行:文化学園文化出版局 2011年 内容:料理研究家のさきがけとして、家庭料理の途にあざやかな足跡を印した辰巳浜子。 少女時代の自由な学びから、戦中・戦後を自分の才覚と働きで乗り越えた日々を綴る。ひとつの家庭を通した昭和の生活記録。 書名:清貧と復興 土光敏夫100の言葉 出町譲著 デイジー(8時間2分) 谷 宣雄音訳 発行:文芸春秋 2011年 内容:個人は質素に、社会は豊かに。社員は3倍、重役は10倍働け…。戦後復興に全力を尽くし、高度経済成長を駆け抜け、晩年は国家再建に命を燃やした土光敏夫の言葉を紹介する。 書名:留岡幸助と備中高梁 石井十次・山室軍平・福西志計子との交友関係 倉田和四生著 デイジー(10時間32分) 福島 五重音訳 発行:吉備人出版 2005年 内容:新しい理想の結晶として成立した高梁基督教会や順正女学校を核として展開された人間ドラマ。岡山県高梁市が生んだ社会事業家・留岡幸助と、石井十次、山室軍平、福西志計子ら先駆的社会事業家たちとの交流を描く。 ○自然科学 書名:千年震災 繰り返す地震と津波の歴史に学ぶ 都司嘉宣著 デイジー(6時間41分)浅井 順子音訳 発行:ダイヤモンド社 2011年 内容:巨大地震は繰り返す! 東海・東南海・南海・首都直下が1年弱の間に続けて起きた江戸末期の安政地震をはじめ、過去に日本列島を襲った地震と津波の歴史を振り返り、今後とるべき備えを学ぶ。『産経新聞』連載に加筆・修正。 書名:がんの練習帳 中川恵一著 デイジー(4時間37分)辻田 峯夫音訳 発行:新潮社 2011年 内容:予防策から告知の際の心構え、検診や治療法選択のコツ、痛みとの付き合い方、最期の迎え方まで、すべて「練習」しておけば憂いなし。がんと平常心で付き合うための練習帳。『週刊新潮』連載を再編集し、加筆して書籍化。 ○文学 書名:通勤電車でよむ詩集 小池昌代編著 生活人新書 デイジー(2時間4分) 小寺 薫音訳 発行:日本放送出版協会2009年 内容:孤独で自由なひとりの人間に戻れる通勤電車。揺れに身を任せ、古今東西の名詩を読めば、日常の底に沈んでしまった詩情がしみじみとたちのぼる。北原白秋、谷川俊太郎、ディキンソンなど、生の真髄をうたう詩41篇を紹介する。 書名:あなたとわたしの物語 小手鞠るい著  デイジー(4時間56分) 佐久間 恵子音訳 発行:徳間書店 2006年 内容:「あなたにあげられるものは、すべて、あげる」と、恋した女。「彼女の躰と僕の躰が別々なのかおかしい」と、恋する男…。一瞬の官能のきらめき感じる、大人の恋愛小説集。『問題小説』連載5話と書下ろし1話を収録。 書名:一命 滝口康彦著 講談社文庫 デイジー(6時間9分)佐藤 淑子音訳 発行:講談社 2011年 内容:病床の妻子を置いて家を出た浪人は、なぜ自ら命を絶ったのか?― 二度映画化され、二度ともカンヌ国際映画祭に出品された不朽の名作「異聞浪人記」の他、武家における殉死の意味を問う「高柳父子」、家族愛を描く「拝領妻始末」など6編を収録。武士の悲哀を描き続けた時代小説。 書名:湖底の城 呉越春秋 2巻 宮城谷昌光著 デイジー(5時間9分) 福島 五重音訳 発行:講談社 2011年 内容:内憂外患に激動する楚。佞臣・費無極(ひむきょく)の奸計(かんけい)によって、伍子胥(ごししょ)の父と兄が捕らえられた。父と兄の処刑前夜、伍子胥は、楚の都に潜入するが…。江水流域を舞台に描く中国歴史小説。『小説現代』連載を書籍化。 書名:人形遣いの影盗み 三木笙子著 ミステリ・フロンティア デイジー(6時間23分)小野田 映子音訳 発行:東京創元社 2011年 内容:代議士夫人の影が盗まれた!? にわかには信じがたい事件の調査を依頼された高広。事件の陰には怪盗ロータスの気配が…。心優しき雑誌記者と美貌の天才絵師の活躍を描く帝都探偵物語。シリーズ第3弾。 書名:私のぼける作法 老年の受け入れ方 下山敦士著  デイジー(4時間32分)吉田 一成著 発行:丸善株式会社岡山支店出版サービスセンター  2008年 内容:老いは、だれにも等しくやってくる。歳をとると、体力も落ち、忘れっぽくなる。 できれば歳はとりたくないものだが、そうもいかない。老いたら、ぼんやり立ち止まり、自然とともに生きる。完全さを求めず、ほどほどの人生を歩むのもよい。 ●点字図書 ◎一般向け図書 ○総記 書名:解説著作権法施行令の一部を改正する政令等について 文化庁長官官房著作権課 著 点字1巻 発行:著作権情報センター 2010年 ○社会科学 書名:昭和史の逆説 井上寿一著 点字3巻  服部 葉子点訳 発行:ふらんす堂 2010年 内容:昭和史は逆説の連続であった。一筋縄では進まない歴史の奔流のなかで、国民は何を望み、政治家はどのような判断を下していったのか。昭和史の主人公たちの視点に立って、「かくも現代に似た時代」の実相を鮮やかに描き出す。 ○文学 書名:星涼 大木あまり句集 大木あまり著 ふらんす堂俳句叢書 点字1巻 発行:ふらんす堂 2010年 内容:命への切実な祈り。2002年から2010年までの377句を収めた句集。第62回読売文学賞詩歌俳句賞受賞。 書名:ナイン・ストーリーズ J.D.サリンジャー著  柴田元幸訳 点字3巻 発行:ヴィレッジブックス 2009年 内容:はかない理想と暴虐な現実との間にはさまれ、抜き差しならなくなった人々の内面を抉る9つの物語。自選短編集の35年ぶりの新訳。 ◎児童向け図書 書名:からほり亭で漫才! 文研じゅべにーる 藤田富美恵著  点字2巻 発行:文研出版 2009年 書名:緑瑠璃の鞠 久保田香里作 物語の王国7 点字2巻 発行:岩崎書店 2009年 書名:西遊記 9 妖の巻 斉藤洋、文・呉承恩(ご しょうおん)原作  斉藤洋の西遊記シリーズ 点字2巻 発行:理論社 2010年 書名:モーツァルトはおことわり マイケル・モーパーゴ著  さくまゆみこ訳 点字1巻 発行:岩崎書店 2010年 書名:マイカのこうのとり ベンノー・プルードラ 作  上田真而子訳 点字1巻 発行:岩波書店 2008年 書名:日曜日島のパパ ヴィンニ! 1 ペッテル・リードベック 作 菱木晃子訳  点字2巻 発行:岩波書店  2009年