岡山県視覚障害者センター 指定管理 令和6年度 事業報告書 1 基本方針   視覚障害者情報提供施設としての業務活動を通して、利用者の生活の質的向上と福祉の増進に寄与することを目的とする。 2 実績報告 (1)利用者の状況    岡山県下に在住する視覚障害者(身体障害者手帳の有無に関わらず)のうち、本人の意思で利用登録をした人を対象にサービスを行った。しかし、現在の当センターの利用者は県下の視覚障害者の約15%に過ぎず、その多くが「情報弱者」のままでQOLも低いのではないかと思われる。今年度も岡山県視覚障害者協会・岡山県眼科医会・市町村の障害福祉窓口担当者と協力し、利用者の増加に努め、14人の新規登録者があった。その一方で既登録者の中で亡くなられる方などもあり、その結果、利用登録者数は8人減となった。センターの利用登録者のうちサピエの登録者数は約50%である。 (ア)センターの利用登録者数 既登録者数 649人 新規登録者数 14人 登録抹消者数 22人 現在数   641人 (イ)サピエの登録者数 前年度末数 314人 新規読者数  11人 解約者数    8人 本年度末数 317人 (2)図書貸出状況 (単位:書名数) 点字図書  図書 482、雑誌 140 録音図書  テープ 図書 22、雑誌 0 デイジー等 図書 3982、雑誌 7378 (3)図書製作状況    図書製作に当たっては、利用者3名を含む図書選定委員会をメーリングリストで月1回開催した。毎回およそ20〜30タイトルが推薦され、その中から投票により、上位5タイトルを採択した。採択図書の中から当センター所属の点訳・朗読ボランティアが図書製作を行っている。   (ア)サピエへの年間登録数(単位:書名数) 点字図書 5 テープ図書 0 デイジー図書 32 テキストデイジー 0 (イ)プライベート点訳・朗読サービス状況 点訳件数 11 朗読件数 34 テキストデイジー 0 (4)施設利用の状況    視覚障害者の教養文化活動のための施設利用の促進を図るため、カルチャー教室の開催、視覚障害者の諸団体や視覚障害者に関わるボランティアグループへ会議室等の貸出を行った。コロナ禍を経て行事が増えたこと、岡山市福祉文化会館が閉館したことなどの影響を受け、利用回数および来館者数は昨年度より増加した。年間の来館者数は3971人だった。 《会議室の利用状況》 ※単位は使用回数(回) 第1会議室 0 第2会議室 143 第3会議室 288 料理室 44 3 各事業の報告 (1)点訳・朗読奉仕員養成事業    点訳10人程度、朗読15人程度の受講生を、県広報紙・ホームページ等で公募し、点字技能師やプロのアナウンサーを講師に迎え、年間で点訳は25回、朗読は23回の講座を開催し、修了者(点訳7人、朗読14人)を当センター所属ボランティアとして登録した。   《実施状況》 ※単位は人数 前年度までの累計 点訳講座 293、朗読講座 471 R6年度中の新規受講者 点訳講座 7、朗読講座 17 R6年度中の修了者 点訳講座 7、朗読講座 14 修了者の累計 点訳講座 300、朗読講座 485 R6年度中に活動実績のある者 点訳講座 83、朗読講座 239 (2)自立支援拠点活動支援事業    中途視覚障害者を対象に、電話・メール・ズーム・来所などの方法で、福祉制度に関する相談、点字・歩行の指導、視覚障害者用のICT機器の利用サポート、視覚障害者用の日常生活用具の紹介等を行った。   (3)点字即時情報ネットワーク事業    日本視覚障害者団体連合が土日を除く毎日配信する最新のニュース(点字JBニュース)の購読を希望する利用者に配信及び郵送をした。令和7年3月現在の利用者は、点字版が17名(郵送16名、手渡し1名)、メール版での提供が56名の合計73名であるが、今後も利用を増やすようセンターだより等で広報に努めたい。   (4)視覚障害者日常生活情報サービス事業    視覚障害者の日常生活に必要な情報を点字版、デイジー版、メール版などで利用者に届ける「センターだより」「あゆみ」「タウン情報おかやま」等を発行した。また、活字を読むことが困難な視覚障害者を対象に対面朗読サービスを行った。 (5)視覚障害者関係研修事業    県内の点訳・朗読ボランティアの希望者を対象として研修会に参加してもらい、技術の向上及び地域ボランティアの資質向上と活性化に努めた。 (6)サピエ図書製作ボランティア養成事業    点訳・朗読奉仕員養成講座修了者を対象に、サピエ図書製作ボランティアを養成する研修を実施した。点訳については点字に関する資格を有した講師を、朗読についてはプロのアナウンサー経験のある講師を選定した。 (7)代筆代読従事者養成事業    令和6年度からの新規事業で、8月と12月の計2回の養成研修を実施した。   合計で43名が受講し、岡山県知事からの修了証が交付された。受講者は福祉関係の事業所や施設の職員、音訳ボランティアが多かった。全国各地の代筆代読従事者養成研修会での講師経験が豊富である、神奈川県視覚障害者福祉協会の鈴木孝幸氏と福喜多恭子氏に講師の依頼をした。今後も継続して実施する予定である。 (8)その他視覚障害者の福祉向上のための事業 (ア)ボランティアと連携したICT機器の利用サポート活動     視覚障害者の情報取得や読書に必要なICT機器を利用する方法について、パソコンボランティア団体(ゆうあいネットPCVOLとOPK)の協力を得て第2、第4日曜日の定例会でサポート活動を行った。 (イ)広報活動     県内の視覚障害者及び家族等へ当センターの存在や役割を周知するため、ホームページ、YouTubeチャンネル、LINE公式チャンネル等のSNSを活用し、広報活動を行った。     また、7月・10月・2月の年3回、県障害福祉課の協力を得て、市町村の福祉の窓口担当者にセンターの体験会を計画し実践した。重度の視覚障害者も音声パソコン等のICT機器を利用すれば多くの情報を取得できることを理解してもらった。   (ウ)利用者ニーズの把握     利用者のニーズを把握するため、アンケートを実施し、管理運営の参考にした。対象者はセンターだよりの読者(センターの利用者)とし、メール・点字・活字版・デイジー版で508名に送り、122名から回答があった。    回収率は24.0%で、利用者全体の約5分の1から回答を得られ、回答者数も回収率も前年度を上回った。ここまで